この実践事例は、全9時間の単元の進め方をまとめたものです。
1年間の国語学習の総まとめとして位置づけられたこの単元では、児童が自ら学習計画を立てて物語の読解を進めます。教師の指示に頼らず、自分自身の力で物語を解釈し、最終的にその「自分の読み」を説明できるようになることを目指しました。
また、授業場面に応じて使い分けるために、「計画・振り返りのための課題」と「読解のための課題」の2種類を配布しています

〈導入〉第1時

これまでの物語文の学習を振り返り、どのような読みの観点を使って解釈してきたかを確認しました。そのうえで今回は、先生の指示なしに自分たちで取り組み、自分が最も納得できる解釈(「自分の読み」)を説明できることがゴールであることを伝えました。

児童にスクールールタクトを配布し、学習の流れやルーブリックを説明した後、この単元で目標にする内容をルーブリックから選ばせました。
その後、本文の朗読を聞いたり、音読練習をしたり、意味調べをしたりする時間を設けました(意味調べも時間はとらず児童が必要だと思ったときに適宜行うようにしました)。

〈展開〉第2~7時

児童は、配布されたスクールタクトの2枚目以降にある計画・振り返りフォームに、毎回の目標と学び方の計画を記入してから読解に取り組みます。一人で行う子、友達と協力する子、一人でやったり友達に聞いたりする子など、学び方はさまざまです。

教師はスクールタクト上で一人ひとりの学習計画や読解の進捗をリアルタイムで確認し、個別のフィードバックやアドバイスを行うなど、伴走に徹しました。

なお、単元の中でも短く一斉指導を行いました。
・主役はほとんど「大造じいさん」だという意見が多かったのですが、中には「残雪」であるという意見の児童もいたため、全体で短く意見交流をした後、活動中も必要ならそのことについて話し合いたい児童は話し合うように提案しました。

・第6時の冒頭では、新しい読みの観点である「情景描写」に関する一斉指導(ミニレッスン)を行いました。第7時でも第6時の児童の様子を踏まえて情景描写に関する一斉指導を行いました。

〈まとめ〉第8~9時

それぞれの読みの観点の中から、特に意見の分かれているものについて全体で交流しました。
最終的な自分の意見をまとめ、単元全体の振り返りや自己評価を行いました。