2025年12月18日、成城学園初等学校教諭 / スクールタクト認定マスターゴールドの秋山貴俊先生を講師に、フューチャーインスティテュート株式会社代表取締役の為田裕行氏をファシリテーターにお迎えし、デジタル・シティズンシップ教育をテーマとしたオンラインイベントを開催しました。

児童生徒間のトラブルを懸念して、ICTを「使わせない方が安全ではないか」「制限した方が良いのではないか」という声も多く耳にします。ところが秋山先生は、あえて「使わせる」ことで起きてしまった「やらかし」を生きた教材として扱う実践を続けています。

本レポートでは、秋山先生の実践紹介と、秋山先生と為田氏の対談の一部をご紹介します。

失敗から学べる環境を:秋山先生が掲げる理念

秋山先生は、「学校は安心して失敗できる場所なはずですよね。ICTだけ例外でいいのでしょうか」と問いかけます。秋山先生は、スクールタクトのコメント機能や「いいね」機能をあえて制限せずに活用しています。トラブルが起こることも想定内。トラブルを未然に防ぐための禁止や制限ではなく、「やらかし」を経験し、そこから考え学ぶからこそ子供たちの行動が変わるといいます。

実践紹介:「秋山学級のやらかし事件簿」

実践紹介では、実際に学級で起きた具体的な「やらかし」事例が共有されました。

「私の◯◯が消えた」事件

スクールタクトの「黒板課題」機能や「共同編集」モードなど、みんなで同時に編集を行う際、誰かが別の人が書いたものを消してしまうことがあります。秋山先生のクラスでも実際に事件が発生。この問題に対し、いきなりクラス全体でやろうとするのではなく、ペアでの端末共有からスタートし、次にペアで一人一台活用した上で、段階的に全員での共同編集に移っていく方法を紹介。誰かに見られていることを体感したり、自分の行動がほかの人に迷惑をかけてしまう可能性があることや、ログが残ることで誰がやったかはわかってしまうことなどを理解した上で大人数での活動に入っていくことが重要だといいます。

※秋山先生のご発表資料から:「私の◯◯が消えた」事件

※秋山先生のご発表資料から:「私の◯◯が消えた」事件

「◯◯にいいね」事件

ある児童が、ほかの児童の白紙のページに「いいね」を押す事件が発生。そんな時にも秋山先生は、「白紙のどこがいいと思ったの?」と問いかけ、「いいねには責任が伴う」ことをクラス全体で考えたそうです。例えば差別的な発言に「いいね」することで責任を問われるということを、小学生のうちから考える貴重な題材になりました。

※秋山先生のご発表資料から:「◯◯にいいね」事件

※秋山先生のご発表資料から:「◯◯にいいね」事件

「ゾンビアイコン」事件

ある児童がスクールタクトのアイコンを変更したことに対し、別の児童が「そのアイコンはやめた方がいいよ。公共の場でそのアイコンは失礼だと思う」とコメントしています。この発言から秋山先生は、日々の「あえて使う」デジタル・シティズンシップ教育により、自分たちの言動は社会に影響を与えるということや、この場は公共の場であり、みんなが見る場なんだという感覚が根付いてきたことを感じたといいます。

※秋山先生のご発表資料から:「ゾンビアイコン」事件(画面右側コメント欄)

※秋山先生のご発表資料から:「ゾンビアイコン」事件(画面右側コメント欄)

「やってみる」から始まるデジタル・シティズンシップ教育のポイント

事例紹介の最後に、秋山先生から重要な3つのポイントを紹介していただきました。1つ目は、安心して失敗できる環境整備。まずは自身の環境ではどんな制限がかけられるのか、どういう情報を大人が見ることができるのか、どんなログを取れるのかなどは知っておくと良いといいます。2つ目は、その上で、毎日使い、その中で学んでいくこと3つ目は社会における責任を考え、具体的な行動を促していくこと。これは絶対に外してはいけないポイントです。

対談:学校という場で「やらかし」から学ぶ価値

後半の為田氏との対談では、学校という場でデジタル・シティズンシップ教育を行う意味や「やらかし」を学びの機会に変える先生の役割などについて、会場からの質問を交えながら深掘りされました。

為田氏は教育コンサルとして多くの学校を訪れる中で、ここ数年デジタル・シティズンシップという言葉を聞く機会が増えてきた一方、「大事なのはわかるけれど、実践するのはなかなか難しい」という声を多く聞くといいます。一方で、これまで先生方が、通常のコミュニケーションでも「あなたはからかったつもりでも、相手が傷ついたらチクチク言葉だよ」などと指導してきたことの延長にデジタル・シティズンシップ教育はあるのではないかと指摘。「デジタル・シティズンシップ教育」という新たな概念として捉えるのではなく、これまで先生方がやってきた「シティズンシップ教育」に内包されると考えると良いのではないかと提案しました。

秋山先生(左)と為田氏(右)の対談の様子

秋山先生(左)と為田氏(右)の対談の様子

毎日使うから、毎日学べる!

スクールタクトには、先生方が児童生徒の「やってみる」を安全に見守り、支える機能があります。例えば…

  • 個人の考えやクラスの学びの傾向を瞬時に把握できる:リアルタイム回答一覧
  • 児童生徒同士のコメントや「いいね」のやりとりを一覧で把握できる:交流マップ

「毎日使えば、子供も、先生自身も毎日学べる」という秋山先生の言葉にあったように、これを読んでいただいた先生方も、ぜひ毎日使って子供たちと「やらかし」を学びに変えていっていただければと思います。

 

イベントの詳しい内容は、アーカイブ動画でご覧ください!

【前編】「やってみる」から始まるデジタル・シティズンシップ教育:秋山先生の発表

【中編】「やってみる」から始まるデジタル・シティズンシップ教育:秋山先生と為田さんの対話

【後編】「やってみる」から始まるデジタル・シティズンシップ教育:質疑応答

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