2025年12月26日、オンラインイベント「教室を飛び出す学びをスクールタクトで 〜3,5,6年生社会科の実践事例から〜」を開催しました。本イベントでは、成城学園初等学校の宮田諭志先生をゲストにお迎えし、小学校3・5・6年生の社会科におけるスクールタクトの活用事例をご紹介いただきました。

社会科に限らず、教室や教科書の枠を越えて社会とつながる学びや、子供たちからの自然発生的な気づきを起点とする授業に関心のある先生方に、ぜひ読んでいただきたい内容です!

宮田先生が目指す「デジタルとリアルの往還」

宮田先生は、スクールタクトを「探究のハブ」と位置づけています。

「子供たちが、実際に社会に生きる人々とつながることができるような授業を展開したい」と、学校外の人、場所、資料と積極的に関わる授業づくりをされている宮田先生。

デジタルアーカイブを活用して教科書にない豊富な資料に触れながら、過去と現在のつながりに気づいたり、教室で学習したことを実際に見に行ったり体験したり、関係者に話を聞いたりすることで考えを深めたり。そんな授業の中でスクールタクトは、デジタルとリアルの往還を支え、子供たちの中から湧き上がる関心や気づきを「見える化」し、一人ひとりの、あるいは子供たち同士の学びを加速させる役割を担っているそうです。

今回のイベントでは、3つの観点から、実際にスクールタクトがハブとなって子供たちが学びを深めていった事例を紹介してくださいました。

1. 社会とつながる学び:製鉄業(5年生)

川崎市の製鉄工場見学を軸にした事例です。見学前に教室で鉄鉱石や石炭の実物に触れる体験を行い、その際の驚きや問いをスクールタクトに書き出しました。 鉄がどう作られるかという知識を知っているだけでなく、実際に体験したことを通して湧き上がった関心や疑問を、見学を通して確認しにいくという授業展開です。最終的には、製鉄業による恩恵という側面と、工場のある地域に暮らした人たちの生活という側面の両面から考察を行いました。見学後にある児童が工場の煙の下で暮らす人々の視点から発した素朴な一言が、クラス全体の探究を深めるきっかけとなりました。

宮田先生は、スクールタクトで一人ひとりの記述が共有されていることにより、1つの気づきを通してだんだんとクラス全体として疑問が膨らんでいく瞬間があるといいます。必ずしも先生がこの教材を通して学んでほしいと意図した方向でなくても、子供たちが自らだんだんと問題の深みにはまっていくことを大切にしているそうです。

「社会とつながる学び」での活用事例

※宮田先生のご発表資料より:「社会とつながる学び」での活用事例

2. スクールタクト x デジタルアーカイブの活用:歴史(6年生)

「ジャパンサーチ」や「国立映画アーカイブ」といったサイトを活用し、高精細な資料を題材にして学んでいく事例です。デジタルアーカイブとスクールタクトは相性がいいと話す宮田先生。二次利用可能な画像をスクールタクトに貼り、過去と現在を比べてみるbefore / afterや、資料から見えた気づきをクイズ形式でクラスに共有するなどの仕掛けで、子供たちは歴史に関心を持ったり、歴史上の事実を自分事として捉えたり、自分の言葉で語れるようになっていくといいます。

デジタルアーカイブは高精細な画像が手元で見られることも特徴の1つで、博物館などに行って見るよりも細かいところまで見える場合もあるため、子供たちならではの視点で資料を読み取り、学びを深めていきます。もちろんスクールタクトではそれがクラス内で共有されています。子供たち自身が調べた資料やそれについての気づきを起点に、先生が教えたいと思っていた内容につながっていくこともあるそうです。

「スクールタクト x デジタルアーカイブ」での活用事例

※宮田先生のご発表資料より:「スクールタクト x デジタルアーカイブ」での活用事例

作者不詳,Artist Unknown『源氏物語(車争)図屏風』(東京富士美術館所蔵)
「東京富士美術館収蔵品データベース」収録
(https://jpsearch.go.jp/item/tfam_art_db-1064)

京都国立博物館 Kyoto National Museum,Kyoto National Museum『病草紙 眼病の治療』(京都国立博物館 Kyoto National Museum所蔵)「ColBase」収録(https://jpsearch.go.jp/item/cobas-5768)

3. 子供が発見する学び:警察(3年生)・貿易(5年生)

あえて作り込まない「白紙のシート」の活用事例です。 宮田先生のクラスでは、スクールタクトの白紙のワークシートに子供たちが自分で調べたことを自由に書き込むことができるようにしています。授業中、あるいは授業外でも、子供たちは自身のタイミングで、熱量が冷めないうちに探究することができます。

例えば3年生の警察についての学習では、一人の児童が調べた「警察官の1日」をきっかけに、「ちゃんと休憩しているの?」という疑問がクラスに広がり、次の授業までには休憩について調べてくる児童が現れ、最終的に働き方改革にまで議論が連鎖しました。5年生が貿易について学習していた際には、調べてきたことを発表したいという子供たちに急遽授業を預け、最後にはスクールタクトで白紙を配布して発表を聞いた感想を書き合いました。

このような授業の中で、スクールタクトの「共同閲覧」モードは大事な役割を果たしているといいます。先生も気づかないような、このクラスの子たちだからこその気づきがたくさん見つかり、その中で学びが深まったり、広がったりしていく様子が見られるのだそうです。大人が意図した「線」の計画を超え、子供たちの発見や興味関心が「面」となって広がっていく様子をスクールタクトが「ハブ」として支えている事例です。

「子供が発見する学び」での活用事例

※宮田先生のご発表資料より:「子供が発見する学び」での活用事例

イベントの後半では、子供たちの言葉をどう拾い上げるか、また、一人の気づきをクラス全体の学びや単元の学びにつなげていく際の考え方などについてもお話しいただきました。

宮田先生、ご参加いただいた先生方、ありがとうございました。

本イベントのアーカイブ動画は準備ができ次第公開予定です。