2025年11月21日 にオンラインイベント「【実践事例から学ぶ】スクールタクトで生徒の表現を後押し!先生も楽に。〜中学校美術の事例から〜」 を開催しました。
本イベントでは、埼玉県所沢市の公立中学校で中3の担任、美術を担当されている伊藤理紗子先生にご登壇いただきました。
美術科での具体的な事例を中心に、生徒の表現を後押しし、先生も授業準備が楽になるスクールタクトの活用術をお話しいただきました。これからスクールタクトを使ってみたい先生や、今よりもう少し活用してみたい先生方、校種や教科にかかわらず参考になる伊藤先生の事例をぜひご覧ください!
伊藤先生が授業で実践する3つのスクールタクト活用術
伊藤先生が授業で最も多く活用しているのは、以下の3つの使い方です。
- 授業内の課題・手順提示
- 自己評価シート
- 鑑賞および作品シート
1. 授業内の課題・手順提示
従来の授業における教科書や板書の役割を、スクールタクトの課題にまとめて配布する活用法です。
<実践内容のポイント>
美術の制作手順の説明や、単元全体の目標、授業計画(指導案を生徒向けに分かりやすくしたもの)などをスクールタクトの課題にまとめ、生徒に一括配布します。例えば篆刻(てんこく)の授業では、写真やイラスト付きで手順やコツが掲載されています。

※伊藤先生のご発表資料より:授業内の課題・手順提示での活用方法
<メリット>
- 座席の位置や別教室など、場所に関係なく、生徒全員が同じ条件で同じ情報を見られる。
- 生徒は手元の端末で、自分のペースで手順を再確認しながら制作できるため、制作が途中で止まったり、先生や友達に繰り返し質問する必要がない。
- 授業数の少ない美術科において、休んでしまった生徒も後から学習内容を確認できる点は非常に重要。
2. 自己評価シート
授業ごとに自己評価シートをスクールタクトで配布し、活動記録として作品の写真を撮り、自己評価と振り返りを行うために使用します。
<実践内容のポイント>
- シートには、題材名、授業時数、目標、日付が記載されています。
- 生徒は、作業終了時の作品の写真をChromebookのカメラ機能で撮影してスクールタクトの自己評価シートに貼り付け、目標に対する自己評価(A・B・C)と振り返り(感想・次回への反省)を記入して提出します。提出期限も設定し、期限内に提出できたかどうかも評価に反映しています。

※伊藤先生のご発表資料より:自己評価シートとしての活用方法
<メリット>
- 生徒が自分で写真を撮り、目標と見比べることで、作品の進捗や取り組み具合を客観的・視覚的に自覚しやすくなります。生徒本人の自己調整にも繋がります。
- 先生にとっては、成績をつける上でも明確な活動記録となります。生徒が立てた目標に対して、実際にどれくらい進んだかが写真で確認できるため、評価時の資料として非常に役立ちます。
3. 鑑賞および作品シート
作品が完成した際に、生徒が自分で作品シートを作成します。また、生徒同士で作品を鑑賞し合うために鑑賞シートを記入する際にも活用します。
<実践内容のポイント>
- 作品シートには、完成作品の写真、タイトル、作品の工夫点や頑張ったところなどを生徒自身が入力します。
- スクールタクトでは完成した作品シートをPDFでダウンロードできるので、そのまま印刷し、作品票として鑑賞会で掲示します。
- 鑑賞シートでは、友達の作品を見て回る中で気になった作品の写真を撮り、「その作品を選んだ理由」や「すごいと思った工夫点」などを記入します。

※伊藤先生のご発表資料より:鑑賞および作品シートでの活用方法
<メリット>
- 書くこと(漢字など)が苦手な生徒でも、文字入力で自分の考えや想いを文面に表現しやすくなります。
- 生徒全員の作品や入力内容を、画像付きで教室前面のモニター画面に一覧で表示できるため、全体での鑑賞やまとめに効果的に活用できます。
生徒の「表現したい」を後押しする活用事例
上記3つの使い方をご紹介いただいた後は、美術の授業、学級での活動の中でスクールタクトを活用した具体的な事例をお話しいただきました。特に生徒の表現や思考を深める実践例を一部ご紹介します。
【実例:風景画(2学年)】補助線・グリッドを用いた構図のサポート
風景画の課題では、生徒はあらかじめ「自分にとって思い出のある風景」の写真を撮って提出します。単に写真を撮るだけでなく、構図を意識して撮影することも評価点となります。
その後、生徒は提出した写真に、スクールタクトの線ツールや表ツールを用いて補助線(十字線やグリッド)を引きます。この補助線と、実際の画用紙に引いた補助線(比率を合わせたもの)を照らし合わせながら下書きを進めることで、複雑な風景でも比率や物の大きさが正確に合うようになり、構図の下書きが容易になります。

※伊藤先生のご発表資料より:写真の上から引いた補助線を参考に風景画の下書きをする活用事例
このように、スクールタクトは先生の工夫と自由な発想で、先生がやりたい授業の実現をサポートできるツールです。
このほかにも、美術の授業だけでなくクラスの掲示板や係活動といった学級での使い方など、たくさんの事例をご紹介いただきました。中学校の美術での活用事例がメインではありましたが、校種や教科を問わず参考にしていただける内容でした。
▼イベントの詳しい内容は、アーカイブ動画でご覧ください!
▼伊藤先生の実践事例をWebで詳しく見られます!
イベントでご紹介いただいた実践はスクールタクト活用ライブラリに実践事例として掲載しています。ぜひ明日からの授業づくりに活用してみてください。
<伊藤先生の6つの実践事例>
- 黒板課題で係の掲示物づくり
- 図形ツールで補助線を引いて構図を学ぶ
- PDFダウンロードを活用した自画像制作
- デジタルデザインから粘土制作へつなぐアイデアの可視化
- 相互鑑賞シートで深めるアート文字鑑賞
- カメラで「制作過程」を記録し振り返る