学びの構造転換をICTで ~各学校の特色を尊重しながら活用を推進~ 2022.04.25 教育委員会

―八潮市GIGAスクール構想とは

 埼玉県の東南端に位置する八潮市は、人口10万人弱の自治体。2020年度末からNTTコミュニケーションズ株式会社のまなびポケットを通して、スクールタクトを導入している。

 「子供達が主体的に学びとる授業を実現するために協働学習ソフトを様々検討してきました。その中でも、スクールタクトが使いやすかったことが一番の決め手です」と話すのは、八潮市教育委員会学校教育部学校ICT推進課の菅谷昌史課長。2024年(令和6年)までのロードマップを策定し、八潮市GIGAスクール構想の着実な遂行の手応えを感じているという。

 教育委員会として、GIGAスクールを推進していくために、2021年度に学校ICT推進課を発足。端末の選定からICT支援員の配置、市内の研修等を一手に担ってきた。

八潮市GIGAスクール構想の説明スライド

▲八潮市GIGAスクール構想の説明スライドより

 「小学校10校、中学校5校という比較的コンパクトな自治体なので、学校の意見を聞きながら、計画を進めることができました。コロナ禍にあって、端末の持ち帰りやオンライン授業も、現場の先生方の状況を聞きながら進めることができました。」

 定期的に学校を訪問し、先生方の授業を参観したり聞き取りをしたりしてきた薄井好人学校ICT推進係長は、先生方がICT活用に非常に前向きで、学校全体で使っていこうとする姿勢が活用が進んだポイントだと話す。

学校ICT推進課の菅谷昌史課長

▲学校ICT推進課の菅谷昌史課長(撮影時のみマスクを外していただきました)

―教育委員会の取り組み

学校間差をなくすために

 ICT活用を進めていくために、複数の研修会を開催してきた八潮市教育委員会。端末の使い方やプログラミング教育、デジタル教科書の使い方などの研修を年に20回ほど実施してきたという。外部講師の方を招いたり、薄井係長自らが講師となって開催することもあったという。教務主任、研修主任、情報主任など各校でICTを推進する立場にいる先生を対象とした研修は、それぞれの先生が校内に情報を持ち帰り、さらに校内研修へとつながっていく。

 「特に、スクールタクトのオーダーメイド研修は、学校現場の要望に沿った内容を実施していただいて、とてもよかったです。オンライン研修というのも、学校現場の先生方が一カ所に集まらなくても、それぞれの学校で研修に参加でき、先生方に好評でした。」

 研修後、それぞれの学校全体のスクールタクトの活用が活発になっていたと話す薄井係長。この1年の研修を通して、先生方のスキルが高まり、これまでの基本的な操作方法の研修から、様々な活用の仕方を知りたいという要望が高まってきているという。

 「最近では、当初の八潮市GIGAスクール構想の計画をベースにしながら、コロナの感染状況も踏まえてオンラインで開催したり、先生方の要望に合わせて研修内容を組み立てています。例えば、ICT活用を推進している先生の授業を公開して、意見交換する場を設けるだけでなく、授業の様子を動画配信して、授業者の先生に直接質問できるような仕組みを整えています。」(薄井係長)

学校ICT推進課の薄井好人係長

▲学校ICT推進課の薄井好人係長(撮影時のみマスクを外していただきました)

活用状況レポートで細やかな指導

 スクールタクトでは、希望する自治体にスクールタクトの活用状況をまとめた「活用状況レポート」を発行している。各学校ごとのレポートには、月ごとの活用状況がグラフで示され、学年や教科ごとに活用状況がわかる。

 「活用状況レポートを見ることで、自治体内の把握ができ、各学校へそれぞれ具体的な指導をしやすく、とても効果的でした。レポートは学校訪問の時に、管理職の先生方に見せながら、ICT活用の実態をヒアリングしました。

 もちろん、スクールタクトだけでない他のツールを使っている先生もいますし、ICTだけを使って授業を行っている訳ではないので、数値の高い低いを善し悪しとすることはありません。基本的に、各学校の取り組みを尊重し、それぞれの学校の特色を生かしていきたいと思っています。なので、レポートの数値には表れていない部分を丁寧にヒアリングし、そこからその学校の取り組みを評価したり、改善点を一緒に検討したりしています。」

 年に複数回、学校訪問に行く菅谷課長や薄井係長の、各学校の取り組みを尊重する姿勢が伝わってくる。ヒアリングを通して、先進的な取り組みをしている事例を、市内の先生に共有したり、研修の内容に生かしているという。学校現場のニーズを柔軟にキャッチし、展開する細やかさが、八潮市のICT推進のポイントだと感じる。

活用状況レポートのサンプル

▲活用状況レポートのサンプル

―2022年度の展望

ICTの効果的な活用を模索

 本格導入となった2021年度は、まずは先生方に使ってみてもらうことを大切にしてきたという。そして、2022年度には、タブレット端末の家庭への持ち帰りなど、家庭学習や反転学習などの活用方法を模索していくという。また、学校に行きたくてもいけない児童生徒への支援や、今後の感染状況等を踏まえながらハイブリット型の授業も考えているという。

 「こうした多様な学びに対して、スクールタクトはとても優れていると感じています。先生が課題を配布すると、子供達はどこでも学びを始めることができます。そして、回答一覧画面で先生はリアルタイムに子供達の学びを見取り、必要な支援・指導をすることができます。」「また、共同閲覧モードにすることで、同じ場所にいなくても、自分の考えを共有したり、意見を交流したりして学習を進めることができるのもスクールタクトの良さだと感じています。」

 今後の展望を語る菅谷課長や薄井係長。2022年度は、ICT活用の推進だけでなく、アナログとデジタルの効果的な活用を検討したり、どういった場面でのICTの活用が有効か、学校現場の先生と共有する場を設けていきたいと話す。

 八潮市GIGAスクール構想の2年目となる2022年度ーー。先生が教える授業から、子供達が主体的に学ぶ協働学習への構造転換へ、学校現場とスクラムを組んだ挑戦はさらに続いていく。

(所属・肩書き等は取材した2022年3月時点です)


<編集後記>

 八潮市教育委員会の学校の特性を尊重した支援をもとに、ICT活用が進んだ八潮市立大曽根小学校の実践事例はこちらからお読みいただけます。

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