共同閲覧モードを活用し、学級経営や児童の学び合いに効果を実感 2022.12.07 小学校


5年生担任の五十嵐太一先生(左)と長嶋まどか先生(右)

宇都宮市では2021年にすべての小中学校で児童生徒に端末が行き渡りました。それと同時にNTTコミュニケーションズが提供するクラウド型プラットフォーム「まなびポケット」と端末管理ツールをパッケージ化した「GIGAスクールパック」、「GIGAスクールパック」のコンテンツの一つであるスクールタクトが導入されています。栃木県宇都宮市立豊郷中央小学校でも利用がスタートしましたが、同校内で一気に取り組みが広がることはなかったといいます。5年生担任の五十嵐太一先生と長嶋まどか先生に、どのようにスクールタクトの活用が広がっていったのか、そして具体的な取り組み内容とその成果について聞きました。

授業参観の機会を生かし学年の先生方の活用を促進

―五十嵐先生が豊郷中央小学校に赴任した当初のICT活用状況を教えてください。

五十嵐:本校は1学年4〜5クラスあり、全校児童が800人ほどの大規模校です。子供たちのパソコンを扱うスキルは全体的に高め。一方で、人数が多いために学校全体で方針を決めて、ICT活用に臨むのはなかなか難しい状況でした。私が赴任した2022年4月当初は、朝の時間にパソコンを使ってゲームをしている子もいました。子供にとって「勉強する道具」という意識があまり浸透していなかったように思います。

長嶋:私は昨年、1年生の担任でしたが、クラスによっては見よう見まねでスクールタクトを使っているという状況でした。活用度合いは先生によってかなり差がありました。私は五十嵐先生の前任校である陽東小学校の実践発表を見学した先生から活用方法を教わり、使い始めたという経緯があります。

―陽東小学校ではどのように活用していたのですか。

五十嵐:私が昨年まで在校した陽東小学校では、GIGAスクール推進担当をしていました。コロナ禍による休校期間中にスクールタクトを導入し、2021年4月から全校で本格的に活用をスタート。多くの先生が日常的に使うようになっていきました。最初に触った時からスクールタクトは操作性が高く、子供たちも馴染みやすいツールであると感じていました。そこで、今年度赴任した豊郷中央小学校でもスクールタクトの活用を広げていこうと考えました。


スクールタクトを使って授業を行う五十嵐太一先生

―具体的にどのように広げていったのでしょうか。

五十嵐:現任校では特にICTの担当ではなかったので、私が関われるのはまず自分の学年の先生に興味を持ってもらうことだと考えました。管理職の先生に相談をしたところ、「私は疎いけれど、大切なことなのでどんどんやってみて」と勧められました。

そこで、学年の先生方と活用ポリシーの相談・共有をスタート。子供たちの使い方について問題意識を持っていた先生からは、「授業の時だけに、パソコンの使用を制限してはどうか」という提案もなされました。しかし、日常の生活の中で使っているからこそ、学習でも自然に活用できるようになるもの。宇都宮市ではアクセスサイトの制限をかけていますから、大きなトラブルが起こるようなことは考えにくいです。そこで、学年では厳しい使用制限は設けずに、児童が使える場面を増やし、それを見守ろうと決めました。

―学年の先生にはどのように活用を促していきましたか。

五十嵐:同学年の先生方からは、「使いたいけれど、自分と児童のICTスキルが不安」という声があがっていました。そこで、授業参観の機会を一つの目標にして、そこでスクールタクトを使った授業をみんなでしてみようと呼びかけました。実際にスクールタクトを使ってみた先生からは、「こんなに簡単なんですね!」「子供たちの表現活動に使えますね」といった感想が聞かれ、今ではそれぞれがどんどん活用の幅を広げていっています。

児童間でノートのまとめ方を学び合う

―現在、スクールタクトをどのように活用していますか。

長嶋:2022年度から教科担任制が本格的に導入され、私は社会科の担当となりました。スクールタクトを使って、授業の中でワークシートを配信し、それに児童が取り組んで、共同閲覧モードで相互に見合うといった活動を行なっています。すぐに自分の考えを出すことが苦手な子が、友達の表現を見て参考にしている姿が見て取れるようになりました。また、耳からの情報が入りにくい子は、スクールタクトの画面を見ながら友達の発表を聞くことができるので、これまでよりも理解が深まっているようでした。

さらに、「ノートまとめ」の確認においても、スクールタクトは効果的だと感じています。友達のノートを見て、「こんなふうにまとめればいいんだ」と参考にする子が多く、クラス全体でどんどんまとめ方が上手になっています。

―ノートまとめはスクールタクト上で行なっているのでしょうか。

長嶋:ほとんどの児童がスクールタクトでまとめています。ただ、中には紙のノートに手書きをしたいという子もいます。そうした子は、ノートのページを写真で撮影し、それをスクールタクトにアップロードするように伝えています。それぞれの子供に合った学習法を採りつつ、教員の管理も煩雑化せずにいられるメリットは大きいと感じています。

―業務の効率化にはつながりましたか。

長嶋:学年分のノートが一気に集まると、その数は100冊以上になります。子供たちは次の授業にはまたノートを使いますから、それまでに全員分をチェックして、戻さなければいけません。

これまでは大量のノートを持って移動しなければいけませんでしたが、スクールタクトならばパソコン一つで確認できます。さらに、子供たちからの課題やノートの提出状況は、名簿と照らし合わせながらチェックマークを入れていました。スクールタクトでは名前順に並び替えができ、提出済みと未提出とで色が異なるので一目で確認ができます。時間を有効に活用することができるようになったと感じています。


授業を行う長嶋まどか先生

児童ひとりひとりを把握する学級経営に活用

―五十嵐先生はスクールタクトをどのように活用していますか。

五十嵐:担任をしている学級に、「朝ノート」をスクールタクトで配信しています。今日の体調や体温、昨日の学習時間、それに対する自己評価、そしてハッピー・サンキュー・ナイスなどの気持ちとコメントを書き入れています。子供の場合、気分や体調が学習にも大きな影響を与えますから、担任として個々の子供たちをきちんと把握するツールとして役立っています。ちなみに、「昨日の学習」は多ければよいというものではないということをあらかじめ伝えています。競争ではなく、「友達が頑張っているから自分も頑張ろう」と意欲につなげてほしいと考えています。


「朝ノート」画面では子供たちの状態を確認

五十嵐先生以外に他の先生が朝ノートを見ることはありますか?

五十嵐:特別支援学級の先生に「今日の予定」をご覧いただき子供たちの予定を共有するという使い方もしています。これまでは口頭での擦り合わせが必須でしたが、スクールタクトを用いてからは「図工で絵の具を持たせる」といったことをすぐに連携できるようになり、足並みを揃えやすくなりました。


他の先生との情報共有でも朝ノートを活用

―他にも学級経営で活用していますか。

五十嵐:学級活動の一環でクラス会議を実施しています。クラス会議は、子供たちで輪になり、互いの悩みを聞き合って、解決策を考えていくという活動です。このクラス会議の事前に「悩み相談カード」を配信し、子供たちに話し合いたい内容を記述してもらっています。カードには「緊急度」なども記してもらい、どの内容を取り上げるかの目安にしています。これも共同閲覧モードで子供たちが相互に確認できるようにしているので、それぞれの子がどのようなことに悩んでいるのかがわかるようになっています。

―教科の授業でもスクールタクトを用いていますか。

五十嵐:私は学年の体育を担当しているので、校庭や体育館に出る前にシートを配信し、鉄棒の連続技を枠内に並べる取り組みなどにスクールタクトを用いています。ワークシートの枠外にある鉄棒技のイラストを該当箇所にスライドして、実践の前にイメージを掴みます。マット運動の単元などでもこうした活用方法があります。

―業務の効率化にはつながりましたか。

五十嵐:スクールタクトはワークシートの複製や修正が非常に楽ですし、もちろんペーパレスにもつながっています。印刷室に行ってプリントを揃える時間がなくなったことは、ほとんどの先生方が実感している効率化ではないでしょうか。

また、教科担任制になったので自分の担当外の教科で、子供たちがどう取り組んでいるかを把握できるという意味でもスクールタクトは有効です。教科指導の向上という側面でも、「○○先生が使っているこのワークシートいいな」と刺激を受けられることはとてもありがたい機会となっています。

学年、そして学校全体に、活用を広げていきたい

―活用の成果や今後の展望はありますか。

長嶋:活用方法でわからないことがあると、放課後に五十嵐先生に確認して、次のタイミングで実践してみるなど試行錯誤しながら使っています。そのため、活用の幅がどんどん広がっているような感覚を持っています。子供たちもパソコンに対して勉強やコミュニケーションに必須のツールなのだと認識するようになり、自宅に忘れてくるケースは少なくなりました。学年全体としてよい方向に向かっていると感じます。

五十嵐:私はスクールタクトを活用している先生方が集うFacebookグループ※に入れていただいていおり、そこで情報を収集し、新たな取り組みに活かしています。今後もそこで刺激をいただききながら、子供たちの学びにつながる活用を深めていきたいと思っています。

今後は、学年全体でのスクールタクトの実践を一層充実させていきたいと考えています。宿泊合宿でしおりを配信するといった活用方法もおもしろいかもしれませんね。また、学校全体でも、学年の縦割り活動でスクールタクトを用いるなどのアプローチも考えています。これからも、新たな挑戦を続けていきたいと思っています。

※Facebook上で運用しているオンラインコミュニティ「スクールタクト研究会(参加無料)」のこと。グループ内でスクールタクトの活用方法や先生方のお悩みの共有などの情報交換を行うことができる。

宇都宮市立豊郷中央小学校

栃木県宇都宮市関堀町にある公立の小学校。全校児童が800人ほどの大規模校で、1学年4〜5クラスある。一年生から六年生までの縦割り班による活動も活発で、朝の学習にも力を入れています。
Webサイト:http://www.ueis.ed.jp/school/toyosato-c/

宇都宮市関堀町公立小学校

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