2025年10月21日、コードタクトでは、福岡県宇美町教育委員会様からの「スクールタクトと組み合わせることで、学校現場での生成AIの活用を高めたい」とのご依頼を受けて、宇美町の先生方向けに「生成AIとスクールタクトを使った授業づくり研修」を実施しました。本研修は、生成AIとスクールタクトをうまく活用して授業をよりよくするための手法を共有することを目的として行われました。
研修では、プライバシー保護やファクトチェックといった「AIと付き合う上の留意点」を押さえつつ、実際にスクールタクトを操作していただきながら、生成AIを効果的に活用するイメージを掴んでいただきました。
生成AIの導入に不安を感じている先生方や、AIを学校現場でより効果的に活用したいと考えている方は、ぜひご参考になさってください!
先生と児童生徒の生成AIに対する意識
皆さんは生成AIに対してどんなイメージを持っていますか?
研修の冒頭、スクールタクトを用いて生成AIに対するイメージを聞いてみると、多くの先生方が「不適切に使われないように慎重に扱わなければならないセンシティブなもの」として捉えていることがわかりました。これに対し、小学5年生の児童を対象に行われたアンケート結果を引用し、子供たちは「自分の好きを深め、新しいことを発見してくれる存在」といった、よりポジティブなものとして生成AI捉えています。生成AIを授業で活用したり、そのほか児童生徒が活用する機会を作っていくにあたり、このイメージの違いを理解しておくことが参考になりそうです。

児童生徒と先生の生成AIに対するイメージの違い
GeminiとNotebookLMの使い分け
続いて、宇美町の先生方が活用することができるGoogleのサービスであるGeminiとNotebookLMの活用についてご紹介しました。
GeminiとNotebookLMの大きな違いは生成AIがアウトプットするにあたって参考にする情報の範囲です。Web上の全情報をソースとするのがGeminiで、一般的に「生成AI」と聞いて多くの方がイメージするのはこちらではないでしょうか。一方NotebookLMでは、ユーザーがアップロードした資料のみをソースとします。
例えばGeminiでは、終業式での全校児童向けスピーチの内容を低学年向け・高学年向けに分けて考案させる、学級で実施するお楽しみ会のレクリエーションアイデアを10個出してもらうなどが考えられます。
NotebookLMでは、Geminiのように広く情報収集するのではなく、アップロードした特定のデータをもとにアウトプットする特徴を生かし、児童生徒自身が間違えた問題をいくつかアップロードし、「僕はサッカーが好きなので、サッカーを題材にして面白く解ける割合の問題を5個考えて」など、個別学習のサポートとして活用するのも良いかもしれません。
生成AIを効果的に活用するためには、「何がしたいのか」に応じて適切なツールを選択することが重要です。Geminiであれば新しい情報やアイデアが欲しい時、NotebookLMなら手元の資料をもとに分析・整理したり、特定のソースから個別最適な結果を得たい時などが考えられるでしょう。
効果的な活用に必要な「留意点」
ここで、生成AIを活用する上で重要な留意点も2点お伝えしました。
- プライバシーに関わる情報は入力しない 個人情報(氏名、成績、保護者とのやり取り)や機密情報(テスト問題案など)は、情報漏洩や悪用のリスクを高めるため、絶対に入力してはいけません。
- 全てを鵜呑みにしない(ファクトチェックの徹底) 生成AIは、「ハルシネーション」といって、事実とは異なることや存在しない情報を結果として出力する可能性があります。出力された内容の真偽を必ず他の情報源と照らし合わせて確認することが必要です。
また、例えば生成AIにたくさんのアイデアを出させた際に、児童生徒がそれを自分のアウトプットだと勘違いしてしまい、「自分で考える」ことをやめてしまうリスクなども考えられます。ただ、リスクがあるから使わないということではなく、児童生徒自身が生成AIのアウトプットを咀嚼したり比較検討したりすることを通して自分自身の考えに辿り着けるよう、学習過程に今まで以上に注視することで、うまく活用していくことができそうです。
生成AI×スクールタクトを活用した授業体験
本研修では、生成AIとスクールタクトを利用した俳句づくりの授業を先生方に体験していただきました。
【体験の流れ】
- キーワード収集(スクールタクト): 参加者がスクールタクトの回答欄に「秋に関する単語」を自由に入力します。
- アイデア生成(Gemini): 回答欄のテキストデータをCSV形式でダウンロードし、これをGeminiに読み込ませます。「小学校5年生の国語の授業」「5年生でも分かる単語を必ず一つ入れる」といった具体的な指示を出すことが、求めるアイデアを得やすくするためのポイントとなります。今回は、Geminiに30個の俳句アイデアを作成してもらいました。
- アイデアの活用(スクールタクト): 生成された30個の俳句の例を、新たな課題としてスクールタクトで配布します。児童は配布されたアイデアの中から良いと思うものを5つ選び、マーカーで印をつけます。
- 成果物の作成: 児童は、生成AIが出したアイデアや視点を参考に、自分なりの考えを取り入れてオリジナルの俳句を創作します。
こういった活用方法により、ゼロからアイデアを生み出すのが苦手な児童生徒もヒントを得ることができ、早く進んでしまう児童生徒も生成AIが提示する多様な視点から気づきを得ることができます。

スクールタクトの回答一覧:先生方が入力した秋の言葉
まとめ
本研修では、生成AIとスクールタクトを活用する可能性を先生方と一緒に模索しました。ご質問いただいた先生からは、「事務仕事をAIに手伝ってもらうイメージはありましたが、授業で使えるとわかってよかった」とのコメントをいただきました。
参加者の先生方のアンケートでは、以下のようなご感想がありました。
- 使う目的を吟味しながら生成AIを効果的に使えるようになりたいなと思いました。
- 生成AIでできることを知ることができたので、学校現場でも活用して効率よい学びに取り組んでいきたいと思いました。
- 俳句は自分で一から作る楽しさもありますが、AIを活用して思いや考えを豊かに表現できることも楽しいと思いました。
- 生成AIに聞けばたくさんアイデアが出てくるので、それをヒントにして自分の考えに活かすような場面で使ってみたいです。
- 活用することができれば、児童の学びの幅を広げることができる便利なものだと感じました。
- 生成AIを使うことで、深い学びのある授業にすることができそうだと思いました。
アイデアを出してもらったり、情報を整理してもらったりすることはもちろん、児童生徒の思考力や創造性を高めるための足場かけとしても活用することができそうですね。
▼研修の詳しい内容は、アーカイブ動画でご覧ください!