愛媛県西条市神拝小学校では、教育活動全体を通して対話を重視した学校づくりに力を入れています。人と人との理解を深めるリアルな対話と、即時性のあるスクールタクトの共有機能により、子供たちの学びはより充実したものとなっています。

対話の重要性への実感や授業の中でのスクールタクトの活用について、山下楓馬先生、金子広樹先生、真木紗英先生にお話を聞きました。

 

まずは教員から 対話から始める学び合い学習の推進

―御校の取り組みについて教えてください。

山下 本校は全校児童700名で、1学年3〜4クラスある愛媛県内では大規模な学校です。多様な児童がともに学んでいる背景もあり、人間関係上の生徒指導事案が課題となっていました。

西条市は教育基本方針において、デジタル学習基盤を効果的に活用した「学び合い学習」を推進しています。そこで、本校では信頼し合える人間関係の構築を目指し、2024年度から対話を重視した学校づくりに着手しました。
手始めに、校内研修を対話型にしました。知識伝達型の研修はすでに知っている先生には退屈ですし、興味のない先生は聞き流してしまいます。環境整備のために、職員室ではなく理科室へと場所を移し、顔が見合える座席で進めるようにしました。

対話のテーマは、「なぜ対話が必要なのか」「よい学びとは何か」など哲学的なもの。物事の表層ではなく、その根本的な性質や本質を深く見抜く本質観取を大切にしました。

この対話型校内研修は、教職歴や年齢差を超えて、教員間で刺激を与え合える時間となりました。結果、自分の気持ちや思いを率直に伝えられる先生が増え、職員室が前向きで、対話が飛び交う、良い雰囲気となっていきました。

 

真木 教員間だけでなく、子供たちにも対話の時間を設けていきました。昨年度、小学3年生を受け持っていたのですが、対話の授業の後にある子が「僕の意見と◯◯さんの意見は違っているけれど、奥底ではつながっている気がする」と発言したことがありました。その言葉に私は心底感動して……。対話の授業にしていくことで、子供たちから学ぶことがグンと増えた気がします。

金子 日常生活の中の対話は、直接面と向かって話し合うことを大事にしています。でも、授業内で子供たち同士で共有させたいときには、スクールタクトの共同閲覧モードがすごく便利なので頼っていますね。

真木 私も、目を見て話し合うときと色んな意見を拾いたいときで使い分けています。例えば、国語で新聞づくりをするときは、共同閲覧モードにして「ほかの人のキャンバスを見てもいいよ」と伝えておきます。ほかの人を参考にしたり、いいところをコメントしあったりして、周りの意見を取り入れるのにスクールタクトが使いやすいんです。

 

対話の習慣が学び合いに生きる

―具体的にどのような授業でスクールタクトを活用していますか。

金子 国語の「私と本 ブックトーク」の授業でスクールタクトを使用しました。自分が書いた読書感想文の内容を整理して本を紹介する様子を録画し、スクールタクトに貼り付けます。児童は互いの動画を観て、「ここが良かった」「こうしたらもっと良くなるのではないか」と感じたことを、付箋機能を使って意見交換します。

活動の振り返りには「アドバイスをもらったことで、いろんな考え方があると思ったし、参考になった」「友達の動画を観て、伝え方が良かったから真似をしたい」という記述が見られ、他者の意見を聞くことで自分だけでは気づけなかった観点にも辿り着けるのではないかと考えました。

山下 先日、「デジタル機器の使い方について提案しよう」という国語の授業を6時間通しで設定しました。授業の最後には、ポスターや動画などを制作して発表します。最初はグループでスクールタクトの付箋機能を使って、「具体的にどのようなことを伝えたいのか」考えていきました。

その後、話し合いながら付箋を動かして伝えたいことを整理し、各グループでCM風の動画を作成するなど効果的な伝え方を考えていきました。成果物は共同閲覧モードで相互に見られるようにし、時間の許す限り、ほかのグループのアウトプットを見てコメントを入れるよう促しました。

真木 私は、5年生の国語のユニバーサルデザインについて学ぶ単元で、スクールタクトを使用しました。調べてわかったことをまとめ、ほかの児童がそれを見てコメントを書き込むようにしました。比較的静かなクラスで自分の意見を表明することがあまり得意ではない子もいますが、スクールタクトのコメント上では「僕も知りたいと思った」「あまり気にしてこなかったことに目をつけていてすごい」といった思いを書けることがわかり、驚きました。

 

―学び合いの取り組みで、児童のどのような姿が見られましたか?

山下 算数の自由進度学習では、スクールタクトで配布された難易度別の課題を児童が自ら選択して取り組んでいます。その中で、めあてに「もしわからなかったら、同じ問題を選んだ友達のところに行って解決する」と記している児童がいました。児童はまず自分一人で考えた後、何人かのクラスメートと話し合い、その後また自席に戻って学習を進めていました。他者を自分の学びに必要なパートナーとして認識して、学びを深めようとしているのだと思います。

 

真木 山下先生の取り組みを基に、私も算数の授業で基本的な問題を解き終わった子に対して、難易度の異なる問題を配布し、どんどん解き進められるようにしています。
子供たちは、スクールタクトの共同閲覧モードでクラスメートの解き方を参考にしたり、実際に友達に相談したりしながら解き進めています。算数が苦手な子も、友達と相談することで一生懸命食らいついている姿を見ることができました。

 

教室の枠を取り払い、自ら学ぶ子供を育てる

―スクールタクトを活用した学習について、どのような手応えを感じていますか?

山下 自己決定の場を設定したことで、今まで学習に向かいづらかった児童が主体的に取り組めるようになったと感じています。ただ、引き出しがないまま自由な場に放り込まれても児童にとっては難しくて…。スクールタクトでは、適度に制限のある自由な場を設定できると考えています。そこで自己決定することで、自分の学びに必要な対話や学び合いが自然に発生するというのが、すごくいいなと思っているんですよね。

―今後、どのような授業を展開したいと考えていますか?

真木 「どのジャンプ問題を選択するか」「次のステップに進むためにどう頑張るか」を学んでいる子供たちの表情はとてもイキイキしていました。これからは、子供たちが自己決定する場面をもっと授業の中で増やしていきたいと思っています。

山下 教室の枠組を外した学びを実現したいと考えています。現在教室の中で行っている自由進度学習を、子供たちが教室から出て、廊下や図書室で進めていくことにすると、当然、教員の目は行き届きにくくなります。その際に重要になるのが、スクールタクトでしょう。目は届かないけれど、スクールタクトでつながっているので、教員は子供の学びの進捗を追うことができ、チャットを送ったりワークシートに書き込んだりして支援することができます。教室を飛び出した学びを支えるのが、スクールタクトだと思うのです。

 

西条市立神拝小学校

所在地
愛媛県西条市

Webサイト
https://kanbai-e.esnet.ed.jp/