ICTでアクティブラーニングの質を向上するスクールタクト 2021.04.06

 

英進館外観

高い合格実績を誇る学習塾・英進館の特色

九州地方と広島県に59の小中学部教場を展開する総合学習塾・英進館は「自立した社会人の育成」を教育理念に、学習指導のみにとどまらず体験学習や理科実験教室、プログラミング教育など幅広い事業を展開しています。
入館時の偏差値は約7割が50未満という英進館では、幅広いレベルの習熟度別クラスを準備し、質の高い授業を行っています。全国最難関と言われる灘高校の塾別合格者数ではこれまで通算9回の全国No.1を達成。ラ・サールや久留米大附設などの難関校や、地元公立トップ校にも圧倒的な合格実績を誇ります。学習塾としては珍しく、アクティブラーニングを積極的に導入している点も特徴です。
今回はタブレット導入の責任者として旗振り役をされている赤塚先生と、英語科総主幹の松本先生に、スクールタクト導入の経緯や活用方法についてお話を伺いました。

左:赤塚先生、右:松本先生

左:赤塚先生、右:松本先生

アクティブラーニングに活かせるスクールタクトを導入

―はじめに、スクールタクト導入の決め手を教えてください。

赤塚:英進館では、他塾に先駆けて2016年からアクティブラーニングを導入しています。当時弊社代表の筒井が、2020年度からの大学入試改革に伴い高校入試、中学入試においても主体性や表現力を問う入試問題が増加していくことを予想し、従来の一方的な講義形式の授業だけでは、それらの新しい入試に太刀打ちできなくなると考えていたためです。アクティブラーニングを取り入れた当初は教師がプリント教材を作成し、生徒同士がディスカッションを行う方式を採っており、ある程度の効果も感じていました。しかし、このスタイルだとどうしても2~4人の少人数でのワークにとどまってしまうという課題がありました。

そこで、より多くの生徒の思考や情報を共有できる方法がないかと1年近くかけて検討しました。アクティブラーニングを取り入れている学習塾は当時ほとんどなかったので、私立の中学・高校まで視察に行ったこともあります。さまざまな教材を比較検討したところ、英進館が求めていた

・クラス全員の解答を共有できる機能

・生徒が撮影した学習ノートの写真を直接教師に提出できる拡張性

を兼ねそろえているスクールタクトに魅力を感じ、導入を決意しました。

弊社が使用しているGoogle Workspaceと連携しやすい点も決め手のひとつです。例えば、現在はGoogleフォームを使って作成した小テストのURLを、定期的にスクールタクトで生徒へ配信しています。

※Googleフォームはアンケートを作成できるサービスです。

すべての教場・すべての教科でスクールタクトをフル活用

スクールタクトを用いた授業の様子

スクールタクトを用いた授業の様子

―どのようにスクールタクトの導入を進めていただいたのでしょうか。

赤塚:中学1年生全員に貸与するタブレット(iPad)端末導入のタイミングに合わせてスクールタクトの利用を開始しました。公教育の現場が一人一台という環境に変わっていくことを想定し、塾としてそれに遅れるわけにはいかないと考え、まず新中1からスタートすることにしました。

―現在どのくらいの先生にお使いいただいているのでしょうか。

赤塚:九州と広島に59の小中学部教場があり、500名ほどの教師が在籍していますが、すべての教場でほぼすべての教師がスクールタクトを使用しています。教師や授業によって使用頻度や使い方に差が出ないよう、導入が決まった段階でスクールタクトの専任担当者を教科ごとに決め、各教科の総責任者と話し合って課題テンプレートを作成しています。各教科の教師は、そのテンプレートを用いて授業を行います。もちろん専任担当者ひとりですべての教材を作るのは難しいので、チームを作って複数名の教師が教材作成に携わっています。

※課題テンプレートとは、課題を作成するために利用できる雛形のフォーマットです。必要に応じて編集を加えて利用することも可能です。一般に公開せず、自組織内に限定して公開することもできます。

―全教場でお使いいただくのは大変だったかと思いますが何か工夫をされていますか。

赤塚:どの教場の生徒たちもスクールタクトの恩恵を最大限享受できるよう、ベテランから新人まで全教師・全教場で活用方法・頻度を揃えることです。また、カリキュラムを組む際に敢えてスクールタクトで提供する内容を試験範囲に含めることで、教師へのスクールタクト活用を促しています。その分、研修でサポートを手厚く行っています。スクールタクトの課題テンプレートを作った教科担当者がZoomで画面共有しながら、教材をどう使うのかを見せる内容です。

現在、スクールタクトを導入して数ヶ月が経ちますが、今でも月2回の研修を行っています。オンラインで研修を実施することで、時差出勤をする非常勤教師にもあとから動画を共有でき、全教師をサポートすることが可能になります。 

スクールタクトを使った授業についての研修の様子

スクールタクトを使った授業についての研修の様子

アナログとのハイブリッド授業にも活用可能なスクールタクト

―教科によってスクールタクトの使いやすさに違いはありますか。

赤塚:教科による使いやすさの違いは特に感じません。ただ、教科の特性によって活用の仕方を変える工夫をしています。

松本:導入直後から、各教科の責任者で集まりスクールタクトでどんな授業ができるだろうと相談していました。「この教科ではこんな風に使ってみます」とプレゼンする場も設けていたので、その中でお互いにアイディアを盗み、だんだん各教科で何ができるかわかってきたんです。

―松本先生ご担当の英語ではどのように活用されていますか。

松本:英語では最初Googleフォームで小テストを作っていましたが、それだと予測変換で正解が出てしまいテストにならなかったので、紙でテストを実施し、それを写真撮影しスクールタクトにアップしてもらうスタイルに変えました。アナログとデジタルそれぞれのいいところどりができているなと感じています。

写真に撮ってアップロードされた小テストの一覧画面

写真に撮ってアップロードされた小テストの一覧画面

教師はスクールタクトで生徒全員分の解答を確認できるので、例えば前回の授業内容を小テストで簡単にチェックし、間違いが多い箇所を把握してそれを解説するところから授業に入っていくことができるようになりました。その他、教科書の復習や自由英作文、イラストを使ったクイズ形式の課題などに利用しています。

11月からは、リスニングにも活用していきたいと考えています。これまではリスニングの復習を自宅で行うのは難しかったのですが、スクールタクトにリンクを貼っておけば、いつでもネイティブの発音を聞き直すことができます。

イラストを用いたクイズ形式の課題

イラストを用いたクイズ形式の課題

―他の科目ではいかがでしょうか。

松本:数学でも同様に、紙に解いた宿題を写真でスクールタクトにアップする方法を活用しています。

数学の宿題の一覧画面

数学の宿題の一覧画面。紙で解いたものを写真に撮ってアップロードする

松本:社会では、スクールタクトで絵や写真をふんだんに取り入れたテンプレートを作っています。教科書の画像は白黒のこともあるので、生徒が手元で資料を見られるのが非常に良いですね。スクールタクトの投票機能を使った4択問題を取り入れたり、生徒の興味を引くところから入っていき、みんなで考えた後に、最後に関連した実際の高校入試問題を解く教材になっています。中1から入試問題を意識した教材に取り組むというのは、社会科が先陣を切って始めています。アイデアを練って教材を作るのには時間がかかりますが、宿題は毎週、課題は月2本作成しています。

社会で利用されている、カラーの資料を用いたテンプレート

社会で利用されている、カラーの資料を用いたテンプレート

スクールタクトによって生まれた空き時間で学びの幅が広がった

―スクールタクトの導入によって、授業にはどんな変化がありましたか。

松本:実は中1の社会の授業は週に1回、40分しかありません。その中で教えるべきことを全て網羅する必要があるんですね。そこで、これまでに撮りためた講義動画をYouTubeに限定公開でアップし、スクールタクトに貼り付けたリンクから生徒がそれを事前に視聴し、宿題を解いてくる反転授業を行うようになりました。

スクールタクトを使って簡単に生徒にURLを共有できるので、動画や音声を教材に盛り込むハードルはぐっと下がりましたね。

講義動画を事前に視聴する反転授業

講義動画を事前に視聴する反転授業を実施

赤塚:本来社会の授業では、生徒の興味の幅を広げるために関連する事柄を話す時間があってもいいと思うのですが、これまでは時間が足りませんでした。反転授業によって時間に余裕ができ、そういったことに時間をとることができるようになりました。

社会に限らず、スクールタクトによって、生徒の理解度を把握し授業の導入部分をより丁寧に実施する、定着のために問題を解く回数を増やすなどの余裕が生まれました。

スクールタクトの活用で生徒全員により目が行き届くように

―生徒さんには何か変化はありましたか。

赤塚:スクールタクトを導入したことで、「発言する生徒の数が増えた」と各教科の教師から聞いています。教材の流れに従って授業を進めていくことで、「話し合ってみよう」などの課題を通して自然に発言が増えていきました。

それに加えて、教師が生徒全員の解答を確認できるようになったことにも大きな変化を感じています。教師はどうしても積極的に発言する生徒に目が行きがちですが、発言したがらない生徒の解答もスクールタクトで確認できるので、つまずきに気付きやすくなったという声も上がってきています。

生徒がスクールタクトに書き込んだ内容をリアルタイムで確認

生徒がスクールタクトに書き込んだ内容をリアルタイムで確認できる

教場運営にもスクールタクトを活用

―スクールタクトの導入について保護者の方にはどんな風にご理解いただいていますか。

赤塚:英進館では保護者の方にもタブレットやスクールタクトの導入について理解していただくために事例集を作成し、ポータルサイト上で共有しています。

授業以外にも、さまざまな連絡にスクールタクトを活用しています。例えば、毎月配布する各クラスの予定表も、従来の紙のスケジュール表だと紛失してしまう生徒もいるのですが、PDF化してスクールタクトで共有するので困ることがなくなりました。休館日の連絡も、間違いや忘れることのないようにスクールタクトで行っています。 

保護者に配布するスクールタクトを用いた事例集

保護者に配布するスクールタクトを用いた事例集

蓄積されたノウハウを駆使して、スクールタクトのさらなる活用可能性を追求する

―今後は、スクールタクトをどのように活用していきたいですか。

赤塚:英進館が目指すアクティブラーニングは、「自分の意見を、自分の言葉で表現できる力を育成すること」です。そのプラットフォームとしてスクールタクトを捉えています。スクールタクトが持つ、回答の共有、URLの共有、課題テンプレート機能などをプラットフォームとしつつ、各教科でそこに何を載せていくかという点については工夫の余地がまだまだあります。導入してまだ数ヶ月ですが、1年も経てばノウハウや経験値が蓄積されて、新しい活用方法が生まれていくのではないかと考えています。今後はよりスクールタクトの可能性を追究していきたいです。 

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