スクールタクト導入3ヶ月で学び合いや個別最適化学習を実現 2021.10.05 高等学校

惺山高等学校

導入前の課題
1 一人一台ノートPCを用いたICT授業を更に発展させていくためのアプリが欲しい
2 生徒の学びをより個別最適化するための支援アプリが欲しい
導入後の効果
1 一人一台ノートPCを用いたICT授業がスクールタクトにより深化及び進化した
2 生徒の学習進捗を把握し、教員からの適切な声かけが可能となり、個別最適化が図られた

2021年に100周年を迎える惺山高等学校は、ICTを軸に学校改革を実施しています。ファーストステップとして、教務システムを導入し教員の業務効率化を図り、生徒に一人一台ノートPCを所持してもらい教科指導へのICT活用を進めました。 続いて一人一台ノートPCを用いたICT授業を効果的に進めるために、2021年4月にスクールタクトを導入。改革のステップや具体的な授業での「スクールタクト」活用方法、今後の展望などについて、髙山篤先生(数学・教務主任)と佐藤千絵先生(英語・進路指導部)にお話を聞きました。

教務と授業の両輪でICTを活用し、学校改革を推進

ーICTを軸にした学校改革のステップを教えてください。

髙山:本校は今年100周年を迎えます。この節目に向けて、4年前の2017年から学校改革に踏み出し、コース改変や校舎の改築などを行いました。3年前の2018年からは、ICTを改革の軸に据えています。

改革の背景には、山形県の少子高齢化が大きく関わっています。年々人が減り、街からも活気がなくなってきています。本校がある山形県を少しでも元気にしたい、そのために「本校は何ができるか」「社会に求められている人材とは」「本校の良さを活かした学校改革は」といった本質的な議論を重ねました。

また、本校の生徒の6~7割は山形県に残り、地域社会発展のために貢献しているという特徴があります。本校がより地域社会に貢献できる人材を育成できるよう魅力を高めることも必要であると考えていたのです。

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髙山篤先生(数学・教務主任)

佐藤:山形県は公立志向が強い県です。最初から私立を第一希望に考える生徒が決して多くない状況でした。以前から公立・私立関係なくフラットに選んでほしいと思っていました。この面からも、学校の魅力を高めていくことは急務だったのです。

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佐藤千絵先生(英語・進路指導部)

ーなぜICTを学校改革の核にしようと考えたのでしょうか。

髙山:本校のある山形県山形市は全国的にみれば田舎の地域です。首都圏に比べればモノもなければ人もいません。何かしようとすると一人で何でもしなければいけません。このハンデを克服するためのツールの一つがICTではないかと考えました。ICTがあれば、どこにいても世界と繋がれるので地方にいながら世界を相手に仕事をしてくことが可能になるのではないかと考えたのです。

ーICTの導入はどのように実現していったのでしょうか。

髙山:先生方はそれぞれの信念と豊富な経験から教育活動を行っています。そこでいきなり「ICTを活用した教育を展開しよう」と言ってもすぐに協力は得られません。「ただでさえ忙しいのに、更に新しい業務をしなくてはいけないのか」といった切実な声も上がってきていました。

まずは教員の多忙化を解消し、かつ教員のICTスキル向上を図るために「教務システムのICT化」を行いました。これにより教員多忙化の大きな部分をしめていた出欠や成績、帳票管理の業務時間を大幅に減らすことが出来ました

そして今まで紙で行っていたこれらの業務をICT化するにより、ICTがとても便利なものであるという認識が広まり、教員のICTに対する垣根が低くなっていった効果もありました。

 

全生徒へ1人1台Chromebookを配布、授業でのICT活用に着手

ー授業におけるICT化はどのように図っていったのですか。

髙山:教務へのICT活用が浸透したところで、生徒に一人一台Chromebookを配りました。しかし、Chromebookを配っただけでは単なる「箱」を渡したにすぎません。そこでICTツールの出番です。いくつかのICTツールを使ってみたのですが、授業中の使いにくさなどが課題となりICTを活用した授業の展開に行き詰まりを感じていました。そこで、行き着いたのがスクールタクトです。本校では2021年4月に導入しました。スクールタクトは学校の現場に即した機能が揃っており、「これで本校のICT教育に必要なものが全て揃った!」と思うほど、使い勝手のよさを感じています

ー生徒さんたちはもともとパソコンには慣れていましたか。また、スクールタクトの使い勝手はいかがでしたか。

佐藤:中学生までにパソコンやタブレットにある程度触れてきている生徒もいれば、片手タイピングからスタートといった生徒もいます。しかし、得意な生徒が初心者の生徒に教えるといった教え合いが自然に生まれ、気づけば全員が問題なく使えるようになっています。

生徒たちは、画面をパッと見ただけで感覚的に機能がわかると言っていました。使用し始めて3ヶ月ほどですが、あっという間に使いこなしています。

髙山:ツール導入後の検証として、スクールタクトの感想を生徒に書いてもらいました。手書きができる点がよいし、添削してもらうために教員にならぶ手間もないなど、ほぼ全員がスクールタクトのよさを答えていました

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【授業実践 数学】「共同閲覧モード」で他の生徒から自然と学ぶことを重視

ー数学科ではスクールタクトをどのように使っていますか。

髙山:授業中、スクールタクト上で問題を解かせ、生徒の解答をクラスでシェアしながら私が丸付けをしたり解説をしたりします。教科書の問題を白紙の画面に書かせているのですが、先生によっては今まで印刷していた授業プリントをPDFにしてそこで取り組ませているケースもあります。

ー宿題でも使用していますか。

髙山:ノートに問題を解いてもらい、それを写真に撮ってスクールタクトにアップし、提出させています。スクールタクト導入前は、朝、係が全員分のノートを集めて、それを私が受がけ取ってから添削するという慌ただしい流れでした。今では、回収の手間なくすぐに添削が行え、余裕を持って授業に臨むことができています

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また、問題を解く際には、「共同閲覧モード」にして他の生徒の解法を見られるようにしています。数学はひとりで唸っていても解き方はわかりません。必要に応じて友人の解答を見て、自身の勉強の手助けにしていくことが重要だと考えているからです。大人しく中々周りに声をかけられない生徒でもこの機能を活用して安心して学習を進められています。

ースクールタクトの利用にどのようなメリットを感じていますか。

髙山:学びの途中経過を見られることが最大のメリットです。今までは机間巡視をしながら声がけをしていましたが、スクールタクトの画面を見れば、誰が順調に進んでいて、誰がつまづいているかがわかりますので、瞬時に効果的な指導が可能です。授業の進度と生徒の底上げの両立がとれており、現場ではすごく助かっています。

また、目の前に生徒がいなくても、その生徒が何を考えているのか課題が見えます。職員室に戻ってからも生徒たちの学習履歴を見て、「今度はこの問題を出そう」「ここはもう一度解説が必要かな」などと検討し、次の授業につなげていくことができます。

 

【授業実践 英語】生徒の学びをリアルタイムに把握し、個別最適化学習を実現

ー英語の授業でのスクールタクトのご活用方法を教えてください。

佐藤:3年生の授業では、一般常識として入社試験の過去問を毎回授業で配信しています。英語の問題をICTを通じて配信する上で必要なことは、手書き機能があること。タイピング機能しかないと、予測変換で単語が出てきてしまうため、それでは生徒の学習にはなりません。

生徒たちは、授業開始の時間になるとすぐにChromebookを開き、スクールタクトにその日に配信された英語の問題を解いています。問題用紙を配布するなどの導入の時間を削減できるので、時間を効率化でき、よりスムーズに授業に入ることができています。

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ー導入の時間以外にもスクールタクトを使用していますか。

佐藤:表現活動でも活用しています。「There is 〜」の構文の学習の際に、実際に構文を使い「自分の理想の部屋を説明しましょう」という課題を出しました。絵で表現をして、「どんな家具が置かれているのか」などを英文で説明します。絵が上手な生徒は部屋のインテリアを自分で描きましたが、苦手な生徒は写真画像を貼り付けて作成しました。私からヒントは出していないので、生徒は自ら考えて活用方法を編み出していたんです

定期テストでは、こうした授業や宿題で学んだ内容を出題します。これまでは「テスト範囲はプリントの何番から何番まで」と伝えると、「プリントなくしました」という生徒も多少いました。しかし、スクールタクトではすべての学びが蓄積されているので、画面を開けばすぐにテスト勉強ができます。生徒にとっても教師にとっても効率的ですよね。

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ースクールタクトの利用にどのようなメリットを感じていますか。

佐藤:紙で提出させた時も他のICTツールを使っていた時も、生徒が提出した完成品しか見られませんでした。スクールタクトになり、リアルタイムで経過を見られるので「点数には結びついていないけれど意欲がある」や「ここで手が止まっているということは、この部分がわかっていないのかな」といったことが把握できます

これにより、授業中の声かけも変わりました。すでに解き終わっている生徒には発展的な内容で追加課題を出すこともできますし、手が止まっている生徒には机間巡視の途中で直接ヒントを伝えることができます。つぶさな生徒把握から個別最適化学習が実現できることが最大のメリットといえるでしょう。

ー生徒と先生の信頼感も増しそうですね。

佐藤:そう思います。人前で発表して、間違うのは避けたいですよね。しかし、今までは生徒に当ててみなければ、解けているか否かがわかりませんでした。スクールタクトは生徒の試行錯誤している様子を把握できるので、生徒が間違っているポイントを先にキャッチし「こういうところは間違えやすいから気をつけて」と声を掛けることによって、生徒はもう1回見直すことができます自信を持って表現活動ができることで、発表をよりプラスの体験にしていくことができると感じています。

惺山高等学校授業中の佐藤千絵先生

 

【部活動での活用】自身のイメージを他者に共有、作品作りの効果効率化に

ー佐藤先生は部活動でもスクールタクトの活用をスタートしたのですね。その背景を教えてください。

佐藤:私は華道部の顧問です。これまでは作品の条件や花の種類などの花材のラインナップが書かれたプリントをカラーコピーで提示していました。華道は色合いが非常に重要なので、カラーで見せたいのですが学校で毎回カラーコピーするのは気が引けてしまいます

さらに、華道には実際に花を活けたり作品を作ったりする前にデザイン画を描くという場面もあります。今まで生徒は、「こんな感じでデザインをします」というデッサンを手描きしていました。手描きなので、失敗するとやり直し。そのため、試行錯誤がしにくかったのです。

ースクールタクトを使い、どう変更したのでしょうか。

佐藤:私が発信していた情報はすべてスクールタクトに集約しました。当然ながら、カラーコピーは不要となり、花材や素材の色や形をよりリアルに伝えられるようになりました。生徒も自分のデザインを「まず描いてみよう」と、トライ&エラーをしながら組み合わせていくことができるようになりました。次の長期休暇には「共同閲覧モード」を使って大作品をみんなで描くという挑戦もしてみたいと思っています。

惺山高等学校部活の華道部で配布する情報もスクールタクトに集約

 

他教科の先生から実践を学び、新たな活用へとつなげる

ー他の先生から活用のヒントを得ることはありますか。

髙山:スクールタクトの良いところは、他の先生の授業の実践記録も気軽に見ることができるところです。授業の合間のちょっとした時間に、他の先生のスクールタクトを見て学んでいます。例えば、ある先生は授業のプリントをPDFにしてスクールタクトで配信し、授業ではそれを電子黒板に表示しながら説明をしていました。電子黒板の場合には説明が終わるとデータが消えてしまいますが、スクールタクトに配信していれば、授業後も見返すことができるというメリットがありますよね。

佐藤:私も他の教科科目の先生のスクールタクト活用法を見るのが好きなんです。商業科の商品開発の授業では、スクールタクトでテンプレートを配信し、そこに生徒が自分の意見をまとめていくという活動をしていました。発表をする際に、ゼロからスライドを作っていくと、フォントやテンプレートこだわってしまい、学習の本質ではない作業に時間を取られている印象がありました。テンプレートを配信しておけば、アウトプット内容を練ることだけに集中できるので、私の授業でもこの手法を取り入れていきたいと考えています。

髙山:別の商業科の授業では、地域の街作りのレポート作成を行っていました。発表前にスクールタクトの「ワードクラウド機能」を使い、どのワードが多く使われたかを視覚的に整理し、全体の論点をまとめ生徒に提示していました。このように自分にはない視点で活用されている部分も多く見ることができ、自らの授業の深化と進化に役立たせています。

 

ICTを軸とした学校改革で主体的な生徒たちが増加

ーこれからスクールタクトをどう活用していきたいですか。

佐藤:古典の先生がスクールタクトに配信した長文を電子黒板に投影して、品詞分解を説明していました。英語も長文読解の時にSVOCや構造を書き込んでいくので、早速取り入れてみました。まだ始めたばかりなので、生徒の反応を見ながら、より良い活用方法を探っていきたいです。

あとはコロナ禍で話し合いの活動がしにくくなっているので、「共同閲覧モード」で画面を見て気付いたことをコメントし合いながら生徒同士で発表に向けた成果物を一緒に作っていけるような学び合いの場面を作っていきたいと思っています。

なお現在は担任をしていないのですが、今後クラス担任をする時にはLHR等で活用し、クラスの話し合いにも活用したいと考えています。

髙山:数学でもスクールタクトを用いて、グループワークを活性化させて行きたいと思っています。現在はコロナ渦で、授業中もグループワークが出来ない状態が続いています。スクールタクトがあれば、コロナ渦でも効果的な交流を行えるのではないかと模索しているところです。

惺山高等学校授業中の髙山篤先生

ー4年間に及んだICTを基軸にした学校改革で変化はありますか。

佐藤:目標や目的意識を持って、前向きに本校を選んで入学してくる生徒が増えたと感じます。私は進路指導室にいるのですが、1年生のうちから「この進路に進みたい」「入りたい企業があるのでインターンシップに行きたい」と相談にくる生徒もいます。

髙山:本校のICT教育が地域にも評価され、2年前からは志望する生徒も増え、選ばれる学校になっていると感じています。しかし、まだまだ改革が必要であると感じています。スクールタクトを導入して3ヶ月しかたっていませんが、お陰様で以前とは違う学校になっているような感覚を抱くほど変化したと感じ、大変うれしく思っています。今年100周年を迎えましたがこれからもさまざまな挑戦を続け、生徒の学びを実現していきたいと考えています。

 

惺山高等学校(旧校名:山本学園高等学校)

県都山形市に1921年に開校した歴史ある私立学校。「普通科特進コース」「普通科普通コース」「商業科ビジネスコース」「商業科クリエイティブコース」「衣創科ファッションデザインコース」の3学科5コースを擁している。ICTを軸にした5年間の学校改革を続け、100周年を迎える2021年4月にスクールタクトを導入。2022年には、惺山高等学校と校名も刷新し新たな挑戦へと漕ぎ出していきます。

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