ICT推進校4年目、授業でも学級活動でも日常的にスクールタクトを活用 2023.03.07 中学校

東京都の中でも他の自治体に先駆けてICT活用の推進を積極的に行ってきた港区。なかでもICT推進校の御成門中学校は、スクールタクトを活用した授業が進んでいます。2018年にICT推進校に選ばれてから、どのようにして教員たちの間でスクールタクトの活用が広がっていったか、また今現在のスクールタクトの活用状況など、主幹教諭の堀内塁先生(保健体育)とICT担当の清水嵩之先生(理科)にお話をお伺いしました。

 

休校中も双方向のコミュニケーションができ、ICTのメリットを実感

―御成門中学校がICT推進校になって4年目を迎えますが、これまでの取り組みについて教えてください。

清水:本校は2018年に港区のICT推進校に選ばれ、2020年に生徒一人1台Windows端末を配布し活用していました。タブレット端末は2021年から配布が始まり、2022年の1学期までWindowsと併用、現在はタブレットメインとなっています。

当初はICTに詳しい教員はわずかで、企業など外部の方を招いて研修を行っていました。その後、次第に授業で活用する教員が増え、ICTに強い教員たちが中心となって、校内研修を実施するようになりました。

そんな中、2020年2月から国内で新型コロナウイルスの感染が広がりはじめ、3月から学校が約2カ月間休校に。その時に校内研修をスクールタクト内で実施し、そこでいろいろな機能を知り「こういうことにも使えるんだ」「これならできそうだな」とイメージが広がり良かったと思います。こうして、少しずつスクールタクトの活用を広げていくことができました。


ICT担当 清水嵩之先生(理科)

―お二人はコロナ前からすでに積極的にICTを利用していたようですが、休校中はどのように活用されていたのでしょうか?

堀内:まず、まなびポケットのチャンネル機能※を使って、生徒たちとコミュニケーションを図るようにしました。毎朝、アンケート機能を使って生徒たちの体調を把握し、コロナ禍でなかなか外に出られない状況でしたので、「みんな家で何か運動をしている?」とか「休校期間が明けたら何をしたい?」といった質問を投げ、自由にコメントを入れてもらったりしました。そうすることで、生徒たちの様子をうかがい知ることができました。実際に会うことはできなくても、双方向性のあるコミュニケーションができたことは、とても大きかったですね。

※NTTコミュニケーションズが提供するクラウド型プラットフォーム。スクールタクトを含めたさまざまな学習コンテンツにアクセスでき、保護者や子どもたちとやりとりできるコミュニケーション機能も備えている。


堀内塁先生(保健体育)

―学習面ではどうでしたか?

清水:教員によってやり方はいろいろでしたね。例えばWordファイルで作成した問題を生徒たちに配布し、それを自宅でプリントアウトして取り組み、休校が明けた登校日に提出させるという教員もいれば、スクールタクトを利用して授業を行う教員もいました。通常の授業とまったく同じようにできたわけではありませんが、自宅で取り組めることはできるだけやってもらうようにしました。このときの手応えが、その後のスクールタクトも含めたICT活用を一気に広げたように感じます。

 

知識の確認や振り返り、生徒同士の意見交換などあらゆる場面で活用

―現在は授業でどのようにスクールタクト活用されていますか?

堀内:私は保健体育を指導していますが、単元ごとにオリジナル教材を作成し、知識の確認や振り返りに活用しています。振り返りは生徒たちにとっては学びを深め、新たな興味につなげるという狙いがありますが、教師にとってもさまざまな気づきをもたらします。生徒たちが振り返りで書いた内容から、自分の授業がどうだったかを知ることができますし、自分の課題を整理することもでき、次の授業の改善につなげることができます。

実技の授業では身体を動かすことが中心となりますが、ときどきスクールタクトを使って生徒同士で話し合いをさせたりしています。例えばバスケットの授業では、5人1グループで1コートに3人しか出られないというルールを設定し、どういう順番でどの選手をどこに配置すると勝てるか、スクールタクトの画面を動かしながら生徒同士で考え話し合い、戦略を立ててもらいました。同じことを紙に書かせると、1回書いたらそれでおしまいになってしまいがちですが、スクールタクトであれば何度でも修正できるので、ああでもないこうでもないと試行錯誤することができます。また、記録に残せるので、前回はどうだったか振り返って軌道修正することもできます。思考を深め広げるツールとして、とても有効だと感じています。


バスケットの授業では、スクールタクトを使い、生徒同士で作戦を考える。

―清水先生はどのように活用されていますか?

清水:私は今、1年生に理科を教えています。授業中はスクールタクトをさまざまな場面で活用しています。例えば新しい単元に入る前に「小学生の頃に学んできたもの」を、単元が終わった後に「学習を通じて新たに学んだこと」をマインドマップのように記入し振り返ることで、知識の確認をしています。授業の後に振り返りをすることで、授業で何を学び、何を得ることができたか自己評価し、次につなげていくようにしています。


単元が終わった後にマインドマップ風に記入し、学んできたことを振り返り次につなげる。

また、生物の授業では「分類」が重要になりますが、動物や植物の特徴を捉えながら、スクールタクト上のテキストボックスを動かしてそれぞれのグループに分類させてみたりするなど、授業内容に応じて有効に利用しています。ときには、少し遊びの要素も入れて、「動物の目の位置を考えてみよう」と、実際に目を描かせてみることもあります。いろいろな目の形がでてきて面白かったですよ。生徒たちが以前よりも楽しく授業に参加しているように感じます。


動物の目の位置を生徒たちに記入してもらい、動物の特徴を考える。

 

席替えや係決め、学級目標の話し合いなどクラス運営にも欠かせないツールに

―学級運営でもスクールタクトを活用されていますか?

清水:学級活動では、係や委員会を決めるときに、アンケート機能を使ったり、共同閲覧モードをオンにして、先生用のメモを見てもらう形で、「この委員会を希望しているのには、○○さんと△△さんですね」といった感じで、表に組み込んでいきます。同じようなやり方で席替えも行っています。

ほかにも学級目標を決める際に、生徒たちに自由にコメントを書いてもらい、ワードクラウドを利用して、キーワードの絞り込みをおこないます。一番多く挙がった言葉やいくつか挙がったキーワードを組みあわせて学級目標にしています。


生徒たちのコメントをワードクラウドで可視化し、学級目標を決める。

ワードクラウドは授業にも活用されていますか?

清水:キーワードが瞬時に分かるので、理科の授業でも活用しています。例えば太陽について学習するときに、「太陽の自転とは何か」を生徒たちに考えてもらい、それぞれの考えを書いていきます。それをワードクラウドでキーワード抽出すると、多くの生徒が「黒点」に注目していることが分かります。他に位置であったり、移動の仕方だったりと動きに注目している人もいれば、形に注目している人もいたりと実にさまざま。それを画面共有しながら「こういうふうに考えている人もいるね。こういう視点もあるんだね」とヒントとして提示してあげると、さらに考えを広げ深めていくことができます。

 

生徒一人ひとりの様子が把握できるようになったことで、個別のフォローが容易に

―スクールタクトを活用するようになってから、生徒さんたちに何か変化は見られましたか?

清水:スクールタクトを利用するようになってからは授業中に発言しない生徒も自分の考えを書くことができるので、生徒一人ひとりの考えが教員の目に止まりやすくなったのは大きな利点と感じています。いい意見だなと思ったら、私の方から指名をして発言をしてもらっています。そうすることで、生徒たちに自信を持ってもらいたいからです。

堀内:スクールタクトを活用することによって、生徒たちの書く量が圧倒的に増えましたね。もともと書くことが得意な子はさらにどんどん書くようになり、書くことが苦手だった子はまずは書いてみようと一歩踏み出せるようになったことが大きな変化だと感じています。

とはいえ、全員がオープンに書けるわけではないんです。なかには自分の考えを人に読まれたくないと、あえて小さな字で書いたり、上から図形を貼りつけて見えないようにしたりする生徒もいます。しかし、スクールタクトなら画面上で把握することができるので、書くことに自信が持てない子には「どんな考えを持っていてもいいんだよ」と声かけをするなどしてフォローすることができます。この「生徒一人ひとりの状況が把握できる」点がスクールタクトのメリットだと感じています。

―先生方の働き方に変化が出ていますか?

清水:これまで教材や資料を渡す際には、プリントして配るという作業が必要でした。それが、スクールタクトを活用にすることによってプリントが省けるようになり、作業効率がとても良くなりました。また、理科の授業には資料がつきものですが、白黒のプリントを渡すよりもカラーの資料の方が写真もクリアですし、視覚的な理解が深まりやすいと感じています。

 

困った時はチャットボットに質問、回答も早くとても便利

―お二人はスクールタクトをかなり使い慣れているご様子ですが、これらのノウハウは他の先生にも共有されているのでしょうか?

清水:校内研修を通じて紹介することもありますが、スキルを持った教員が日常的に教えてあげることで、他の教員の活用が広がっているように感じます。例えば同じ教科の教員同士で、どんなふうに活用しているのか教え合い、参考にしたり、以前使った教材や資料を使わせてもらったりしています。私たちはたまたまこういう分野が得意だったけれど、使い始めた時期にそれほど大きな違いはありません。みんな初めてのことですから、分からないことがあって当然です。ですから、自然と教員同士で助け合う空気が生まれているように感じます。

―お二人でも分からないようなことがあった場合はどうされていますか?

堀内:私はまず清水先生に聞きます。とはいえ、授業中だったり、つかまらないときもありますので、そういうときはスクールタクトのチャットボットでの問い合わせを活用しています。分からないことを入力すると、回答が返ってくるというサービスですね。チャットでの問い合わせは回答まで時間がかかるイメージがあったのですが、スクールタクトではチャットボットがすぐ回答してくれるので重宝しています。

清水:私もスクールタクトのチャットボットはよく利用しています。細かい話になってしまうのですが、例えば図形とテキストをグループ化したいときのやり方とか、テンプレート登録、作成した課題の複製など、分からないことがあったらすぐに質問しています。丁寧に詳しく説明してくださるので、とても助かっています。


メニューのお問い合わせからチャットボットで質問することができる。(サンプル画像)

最後に今後の展望について教えてください。

清水:御成門中学校が港区のICT推進校に選ばれて4年目を迎えました。当初はどのようにスクールタクトの活用を広げていけばよいのか分からず手探り状態でしたが、4年目を迎えた今は教員同士が自然に教え合う空気が生まれ、自身で試してみる教員が増えているように感じます。さまざまな場面で活用できるスクールタクトは、今や学校生活にはなくてはならないものになっています。生徒たちの学びに対する姿勢の変化も見られ、教員たちは日々手応えを感じています。これからもスクールタクトを積極的に活用し、「生徒の学びに向かう力」を育てていきたいと思います。

 

東京都港区立 御成門中学校

2018年に港区のICTモデル校に指定され、以降、教員が一団となってICTを活用した授業を実践。2022年度のスローガンは「生徒の学びに向かう力を育む御成門中学校 ─自ら充実した学校生活を創造し、世界に発信する─」。2022年度の生徒数は270名、ダンス部が全国大会に出場するなど部活動も盛ん。
Webサイト:https://onarimon-js.minato-tky.ed.jp

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