2026/7/27、オンラインセミナー「先生のための『子供の主体性を引き出すコーチング』入門〜言葉かけ・関わり方をアップデート〜」を開催しました。

登壇者は、成城学園初等学校教諭で、スクールタクト認定マスター(ゴールド)であり、『コーチングが子どもを伸ばす 意欲と行動を引き出す教師の関わりかた』の著書でもある秋山貴俊先生。今回は、学生時代から学び続けてこられた「コーチング」をテーマに、学校現場で子供の主体性を引き出す関わり方についてお話しいただきました。また、セミナーでは、弊社スタッフを相手にしたコーチングの実演も行っていただきました。

聞き手は、元東京都公立小学校教諭で、現コードタクト教育実践研究フェローの白杉亮先生。セミナー後半では、秋山先生との対談も行われ、白杉先生の専門である自己調整学習の理論から、授業における子供との関わりについてもお話しいただきました。

コーチングとは「引き出す」関わり

秋山先生は、コーチングを一言で表すなら「引き出す」ことだといいます。

秋山先生のご発表資料より

秋山先生のご発表資料より

コーチングとは、相手に答えを教えるのではなく、対話を通して、その人の中にある考えや力を引き出す関わりです。ビジネスの世界では、上司が部下の目標達成を支援する1on1などでも取り入れられていますが、秋山先生は、この考え方は学校現場でも大いに生かせるといいます。
もちろん、学校教育において「教える」「正す」「引っ張る」関わりが不要になるわけではありません。秋山先生自身も、日々の授業や学級経営の中で、従来の指導を大切にしていると話しました。
そのうえで、子供たちが自ら考え、自ら行動していくためには、先生が一方的に答えを与えるだけではなく、問いかけながら伴走する関わりが大切になります。

スキルの前に大切な「自己基盤」

コーチングというと、傾聴、承認、質問といったスキルに目が向きがちです。しかし秋山先生は、スキルの前に大切なものとして「自己基盤」を挙げました。

秋山先生のご発表資料より

秋山先生のご発表資料より

自己基盤とは、先生自身がフラットな状態でいることです。

授業中、子供の発言が想定と違ったとき。研究授業でうまく進まないと感じたとき。休み時間のトラブルや保護者対応が頭に残っているとき。そうした焦りや不安があると、先生は子供の声を冷静に聞き取りにくくなります。

本来は子供たちが主役であるはずなのに、先生の焦りや「正しさ」へのこだわりが強くなると、いつの間にか子供を誘導してしまうこともあります。

だからこそ、まずは自分自身の状態に気付くことが大切です。

秋山先生からは、自分自身の状態に気付くための問いかけや、自分の中の「未完了」になっていることを整えることなど、具体的な方法をご紹介いただきました。

子供の声を聞くためには、まず先生自身が自分の状態に気付くこと。これは、コーチングに限らず、学校現場で子供と関わるうえで大切な視点だと感じられるお話でした。

子供との信頼関係が土台になる

コーチングを行ううえで、もう1つ大切になるのが「ラポール」です。

ラポールとは、お互いに親しい感情が通い合い、打ち解けて話ができる信頼関係のことです。どれだけ良い質問をしても、子供が「どうせ先生は自分のことをできないと思っている」と感じていれば、その言葉は届きにくくなります。

秋山先生は、ラポールを築くためのマインドとして、子供を信じる姿勢を挙げました。

秋山先生のご発表資料より

秋山先生のご発表資料より

子供を信じる姿勢があるからこそ、先生の質問や承認は子供に届きます。反対に、「どうせ分からないだろう」「自分が教えなければ無理だろう」という思いがあると、その姿勢は子供に伝わってしまいます。

秋山先生からは、信頼関係を築くための具体的な工夫についてもご紹介がありました。

コーチング実演で見えた「引き出す」関わり

セミナーでは、弊社スタッフの中村を相手に、秋山先生によるコーチングの実演が行われました。

中村の悩みは、子育ての中で、やるべきことをやらない我が子に対して、どうしても先回りして言ってしまうというものでした。例えば、ランドセルを片付けずに床に出しっぱなしにしてしまうなど、日常の中でつい注意したくなる場面があるといいます。

その悩みに対して、秋山先生は「こうすれば良い」と解決策を示すことはありませんでした。

代わりに、質問を重ねながら、中村自身が状況を整理し、自分がどうしていけば良いのかを考えられるように関わっていきました。

実演後、中村は「非常に頭がクリアになった」と話していました。見ている側としても、秋山先生が一方的にアドバイスをするのではなく、対話を通して相手の中から解決策を引き出していく様子がよく分かる時間でした。

まさに、講座の中で語られていた「引き出す」関わりを実感できる実演でした。

明日からの関わり方を少し変えてみる

子供の主体性を引き出す関わりは、特別な場面だけで必要になるものではありません。

授業中の声かけ、学級でのトラブル対応、宿題を忘れた子供への関わり、発表できずに困っている子供への支援。学校生活のさまざまな場面で、先生の言葉かけや関わり方は、子供の考えや行動に影響を与えます。

本セミナーは、先生方が日々の言葉かけや関わり方を見直すきっかけとなる時間でした。

当日の講座とコーチング実演の様子は、YouTubeのアーカイブ動画で公開しています。

秋山先生がどのように質問を重ね、相手の中から解決策を引き出していくのか、ぜひ動画でもご覧ください。