宮城県仙台市にある私立東北高等学校は小松島と泉の2箇所のキャンパスに6つのコースを設置、全学年で1700人を超える生徒が学んでいます。泉キャンパスでは教育プラットフォームとしてClassiを導入し、授業支援ツールとしてClassiNOTE(スクールタクト)を採用しました。導入の決め手や、ClassiNOTEにより生徒の学びにどのような変化があったのか、ICT活用を推進する先生方に聞きました。
※ClassiNOTEは、Classiユーザー用に提供しているスクールタクトの別名称です。システム上の違いはありません。
ICT活用に必須の授業支援ツールとしてClassiNOTEを採用
―ClassiNOTEを導入した経緯を教えてください。
佐藤:本校では2022年度の入学生より1人1台端末の導入を始め、iPadを採用しました。初年度は、学校からスペックのみ指定して家庭で用意してもらいましたが、2年目の2023年度入学生からは、学校で一括購入し貸与しています。当初、泉キャンパスで自由に使える連絡手段がなく、小松島キャンパスのシステムを利用していました。これでは不便だということで、連絡や学習のプラットフォームとしてClassiが候補に上がり、比較検討をした結果、泉キャンパスで導入を決めました。
佐々木:iPadを単に検索や動画を見る以外にも学習を双方向に進めるために活用したいと思い、そのためのツールを探していました。ClassiNOTEは、ほかのツールと比べて普段の授業で使うイメージを持つことができ、高校生の学習と相性がいいと感じました。また、ClassiとID・パスワードを共有できるので、管理がしやすく、手軽に利用できるという点も大きかったですね。
ICT教育推進室 室長 佐藤祥満先生
ClassiNOTEでディスカッションが活性化〜公共の授業での活用
―授業ではどのような使い方をしていますか?
地歴公民科主任 樋口健太郎先生
樋口:私は1年生の公共の授業で、主にディスカッションの場面で活用しています。例えば「公共交通機関の優先席」や「夫婦別姓」「死刑制度」など、意見が大きく分かれるテーマについて意見交換することがあります。
その際に、まずClassiNOTEの「○×投票機能」で生徒の意見を聞いて、クラスの中で賛成と反対が何%ずついるのかを確認します。グラフで視覚的にもわかりやすいので、近くの生徒同士が声をかけあうきっかけになっています。
次にテーマに関する資料映像を見た上で、グループディスカッションで賛成と反対の意見を出し合いClassiNOTEに書き出していきます。そしてグループごとに話し合った内容を発表してもらい、全体で意見交換をして、最後にまた投票をするという流れでやっています。
佐藤:私は学内の公開授業でちょうどこの授業を見ていたのですが、ディスカッションでみんなの意見を聞いて、「最初○だと思っていたけれども、やっぱり×だったかもしれない」と意見が変わる生徒がいました。最初と最後では賛成と反対の割合が変わるのが非常に面白かったです。
―ClassiNOTEを使うようになる前よりもディスカッションしやすくなりましたか?
樋口:以前は1枚の大きな紙に付箋に書いた意見をどんどん貼っていくというやり方でした。現在はClassiNOTE上でお互いの意見を視覚化できるので、意見も活発に出るようになりました。やはり対話型、参加型の授業の方が生徒の反応もいいですし盛り上がります。
教員も手元で全員分の意見を把握できるので非常に便利です。気になる表現や面白いことを書いている生徒がいたら、みんなの前で発言してもらっています。そうやって生徒の思いを可視化しながら授業の流れを作ったり、共有したい意見を前の画面に映して注目させたりして、リズムよく授業を展開できるようになりました。
また、自分の意見を言葉で発表するのが苦手な生徒は、選択肢から選んだり、キーボードで入力したりする方が意見を出しやすい場合があります。ゼロから自分で書かせるのではなく、アンケート機能を使って「自分の考えに近いものを選んで」と投げかけると、意見を出す手助けになっているようです。
デジタルのメリットを生かして力を育む〜国語の授業での活用
―国語科での活用はいかがですか?
国語科主任 佐々木みほ先生
佐々木:国語は長い文章を扱うことも多いため、印刷物を配布するのが一般的でした。現在はClassiNOTEでデジタル教材を配布することが増えました。例えば、接続表現を入れて文章を書き直すような課題では、生徒が回答をタイピングして提出できるようにしています。デジタルは間違っても何度でも書き直せるので、生徒が打ちながら自分で繰り返し考えることができるのがいいですね。
また、ClassiNOTE上で800字の長い文章を書く課題を出すこともあります。デジタルは修正しやすいというメリットを生かし、まずは長い文章を書くことに慣れてほしいと考えています。ClassiNOTEでは文字を入力する枠に文字数が表示される点も非常にわかりやすいです。
デジタルのメリットを生かし、長い文章を書くことに慣れてもらう
さらに複数の項目を分類するような課題でも、ムーブパーツで項目を自由に移動させながら考えられるので検討しやすく、生徒が思考を整理する手助けになっています。
項目を自由に動かせるため、思考を整理しやすい
―国語科ではまだ手書きにこだわりがある先生も多い印象を受けますが、どのように考えていますか?
佐々木:もちろん原稿用紙の使い方や字の丁寧さも含めて国語だと思うのですが、生徒に対して一度に全てを求めすぎではないかと感じています。語彙も足りず、文章の構成もわからず、原稿用紙の使い方もわからない生徒にパーフェクトな文章を書くことを求めることは、強制的に飛び級させるようなものです。
私は段階を踏んでもらうことが大事だと考えています。例えば800字書くと聞いただけで生徒は「えーっ!」となってしまうので、まずは800字というのがどれくらいなのかその感覚に慣れてもらう。そして一段一段ステップアップを重ね、最終的に目的を達成してもらえれば良いと考えています。
―ClassiNOTEを使った授業で生徒にどのような変化を感じていますか?
佐々木:何よりも、まずは「書く」ということに抵抗がなくなってきたと思います。まず書いてみることができれば、教員も「ここをこうしたらこうなるよ」と、具体的なアドバイスができます。そうすると改善しようとする子はきちんと吸収していきます。
今までは、鉛筆を持つのも嫌で書こうとしない生徒には「がんばってね、少しでもいいから書いてみよう」というアドバイスしかできず、まったく進歩につながりませんでした。形式を厳しく指導されて国語嫌いになったという生徒もいます。私はまず「書けた」という部分に注目し、次に進めるようサポートしたいと思っています。
協働学習や生徒のアウトプットに最適
―協働学習にはどのように活用していますか?
佐々木:グループ内で話し合ったことをスライドにまとめるのにも使いますし、メンバー間で相互評価をするのに使ったりしています。ClassiNOTEはテンプレートが豊富なので、自分で一から作らずともすぐに活用できるのは大変助かります。
今年度は初めての試みとして、1年生の「現代の国語」の後期中間テストを廃止してプレゼンテーションで成績をつけることにしました。「理想の修学旅行を考えよう」というテーマで、グループで企画をスライドにまとめて発表するのが課題です。企画を立てるための考え方の流れやテンプレートも、発表のために作るスライドも全てClassiNOTEで行いました。またグループ内の相互評価も行っています。
テンプレートを活用し、生徒同士での相互評価を実施
企画のスライドはグループで共同編集できる設定にし、評価のスライドは教員のみの閲覧設定にしました。用途に合わせて権限を使い分けができるのも非常に便利だと感じています。
教員側の課題管理や評価の利便性が高まる
―先生の情報管理は便利になりましたか?
佐々木:ClassiNOTEで出した課題は、評価もそのまま書き込んでいるので記録として残しています。以前は生徒のノートに評価を書いてもそのノートを紛失されると証拠がなくなってしまい、困る場面がよくありました。
樋口:やはり紙ベースだと生徒の紛失も多いですから、ClassiNOTEに残しておけるのは大変管理がしやすいです。評価の際も、タブレットさえあれば後からでもどこにいてもじっくり見返すことができるので、非常に便利です。
佐々木:常にClassiNOTEで授業をしているわけではないのですが、授業の板書や、紙で配布したプリントは全て写真に撮ってClassiNOTEに載せています。生徒はテスト前に解き直しをするときにClassiNOTEを見直しているようです。プリントを無くしてもClassiNOTEに残っているので、生徒も情報管理が楽になっています。
ClassiNOTE上に評価を残すことで、紛失の心配がなくなり管理がしやすくなった
―ほかに便利だと感じている使い方があれば教えてください。
佐々木:外部の講師を呼んで講座を行った際などに、事前に資料をClassiNOTEで配布しておくと、教員の管理画面からは誰が資料を開いたのか確認できるので、大変参考になります。
それから、成績をつける際の観点別評価の基準もClassiNOTEで配布しています。生徒はいつでも見ることができ自分でメモも残せるので、紙で配布するよりもメリットが大きいと感じています。
デジタルのメリットを生かす身近なツールとして
―導入から2年、ここまでの活用状況はいかがですか?
佐々木:導入当初は使い方の質問を多く受けましたが、ClassiNOTEは感覚的に使えるので次第に触りながら試行錯誤する先生も増えてきました。生徒は初めから抵抗なく使っていますし、1年目から使っている生徒が2年生になったときは、生徒の方から先生に、「こういうことができるからやってほしい」と伝えている様子もありました。
2年目の夏にはあらためて研修を実施、7月と12月にはClassiNOTEを使った公開授業も行い、少しずつ教員の間に興味が広がっています。もともと3ヵ年計画で導入を進めており、いよいよ2024年度は3学年全ての生徒にiPadがそろいます。それに伴い全学年の先生がClassiNOTEを使うようになりますので、これからさらに活用が増えていくと思います。
―今後どのような活用をしていきたいですか?
佐々木:iPadにしてもClassiNOTEにしてもそれを使うことが目的ではなく、自分たちの学びを深めたり、作業効率を上げたり、生活を便利にしたりするために使えたらいいなと思っています。
授業でも無理に使うというのではなく、今まで付箋でやってきたことをClassiNOTEに置き換えたら便利になったというように、デジタルの方がよければデジタルにするし、今までのやり方の方がよければそうする、という使い方をしていきたいです。ClassiNOTEはいつも身近にあるもの、とみんなが感じてくれるといいですね。
学校法人南光学園 東北高等学校
所在地
宮城県仙台市
インタビュー対象者
ICT教育推進室 室長 佐藤祥満先生(小松島キャンパス)
地歴公民科主任 樋口健太郎先生(泉キャンパス)
国語科主任 佐々木みほ先生(泉キャンパス)
Webサイト
https://www.tohoku.ed.jp/
泉キャンパス