ICT導入に向けた校内準備 & 学校内のICT利活用を加速されたい先生、ぜひご覧ください!
2020年1月22日、東京都にある港区立御成門中学校にて、生徒一人一台タブレット端末環境での授業実践の充実に向けて、schoolTaktの使い方を学ぶ校内研修会が開催されました。
同校ICT担当主任教諭甲賀文晶教諭と清水嵩之教諭は、2019年12月15日に開催された【schoolTakt★ガッカイ】にもご参加いただき、様々な学校のICT活用状況を研究されるなど、現場での活用に向け邁進しておられます。
【schoolTakt★ガッカイ】では、教員間の会議利用や生徒の意見交換を活かした探求授業などの事例が多く紹介されました。また、参加者がグループに分かれ、協力して模擬授業課題を作成するワークショップも行われました。【schoolTakt★ガッカイ】で収集した情報と、甲賀教諭と清水教諭のこれまでの授業実践を交え、研修内容を準備されてきました。当日の研修の様子を取材させていただきました。
■教員の言葉かけで生徒の活動が変わる
授業で活用するためには、授業での利用の前に、先生がICTの使い方やメリットデメリットを把握することが大切です。
そのために、まずはまなびポケットの立ち上げとログインからスタートします。その後、schoolTaktを開き、英語の穴埋め課題の取り組みを通して、schoolTaktの基本操作を確認しました。甲賀先生が、校内行事の防災訓練の振り返りで記入した生徒の回答を紹介しながら、先生の授業で多用している機能をピックアップして説明していきます。
『虫眼鏡マークを押すと、お互いの画面を見合えます。』
『お互いの画面を見合い、良い意見だと思ったら、画面上の指マークを押しましょう。”いいね”が送れます。』
実際の授業と同じように問いかけながら、教員の言葉かけで活動のスムーズさが変わることも具体的に説明しました。また、教員が生徒役になることで、初めての操作で生徒が疑問に感じる部分を体感することもできました。ねらいに沿った活動は、ICTもアナログも教員の問いかけがあって引き出すことができることを、生徒の視点に立って考える時間になりました。
<甲賀先生のスクールタクト活用のポイント>
●生徒にして欲しいアクションと、それによって引き出したい学びを明確にする。
●活動や操作の説明を簡単な言葉で全体に伝える。
●個人とクラス全体の取り組みを学習ログから把握して活かす。
■操作に慣れると工夫したくなる!個性が出る!
続いて行われた清水先生の模擬授業では、様々な生き物の画像の中から哺乳類を分類する課題に取り組みました。初めはどのように操作するのか戸惑っていた先生も、すぐに操作に慣れて課題に取り組みます。
実際に生徒役としてschoolTaktを操作をすることで、機能や特徴がわかり、画面の編集の仕方にも先生毎の工夫が自然と生まれていきました。そして、研修のはじめにあった硬さが徐々に和らいでいき、先生同士で微笑みながら課題に取り組んだ結果、個性あふれる回答が多く並びました。
課題の作りやすさや生徒が楽しく取り組める工夫などを紹介する、清水先生のアイデアが詰まった模擬授業体験の時間になりました。
<清水先生のスクールタクト活用ポイント>
●生徒による画像移動を許可した課題を作成する。
●テキスト入力と画像移動に加えて画像のコピーを活用する。
●生徒キャンバスをピックアップして拡大表示できる反面、一度に多くを選びすぎないように注意する。
●生徒同士の回答閲覧時はSHOWモードを、共同編集はEDITモードを、それぞれ使い分ける。
■白紙を優れた課題に変える発問
再び甲賀先生が進行を務め、模擬授業作りのスタートです。
模擬授業の担当教員を、紙で作ったくじで選びます。くじで選ばれた教員は全部で4名。学年や教科で関わりのある教員とグループを組み、schoolTaktを使って課題づくりを行います。
甲賀先生が模擬授業づくりのポイントとして伝えたのは、一点だけです。それは、配布する課題は白紙のままでもよいということです。なぜなら、授業で最も大切になるのは、先生から生徒への発問であるからです。生徒の回答がアクティブになるように、授業者の授業のねらいが伝わるように、生徒の個性が活きるように等、生徒が表現する内容は発問に左右されると、甲賀先生は続けます。その後、グループに分かれた先生方は、作る課題の方針を話し合いながら、schoolTaktの機能を確認し、協力しあいながら模擬授業の課題を作成していきます。
4つのグループで作った模擬授業
■模擬授業1 関東の球団を選びましょう」(保健体育科教諭)
指で移動できる球団チームのエンブレムを動かしながら、笑いの絶えない授業となっていました。
■模擬授業2 「1+1=2.5になる時はどんな時?」(校長先生)
回答を自由に記述してもらい、画面一覧でお互いの回答を見合い、注目させたい回答を書いた教員に発表をしてもらいました。
「チョコクッキーとマシュマロを一緒に食べた時である」というような、個性あふれる回答が多く出ました。
■模擬授業3 「10円を1つだけ動かして40円にしましょう」(数学科教諭)
10円玉の画像を移動して取り組む高難度の課題に、先生の表情は真剣そのものでした。
■模擬授業4 「画像を見て楽器名を答えなさい」「校歌額の文字の色は何色?3択の中から選びましょう」(音楽科教諭)
解答欄と出題の枠がわかりやすく工夫された課題は、多くの先生から好評を得ていました。
■ワークシートの活用
模擬授業の後、甲賀先生から、今すぐできるschoolTaktの活用方法として、ワークシートの取り込み機能が紹介されました。schoolTaktのキャンバス横のボタンを押すだけでPDFが一括貼り付けされる流れを見ると、先生方からは驚きの声が上がりました。schoolTaktでは、今あるワークシートも利用できるため、今までの授業スタイルを変えることなく、且つ、学習ログの活用や生徒の好奇心を引き出す協働学習に取り組みやすくなります。これが活用のメリットであると、甲賀先生は最後にまとめました。
■取材後記
60分という限られた研修時間でありながら、内容の濃さを体感しました。甲賀先生と清水先生を中心に、授業活用への一歩としての研修会をやりたいという思いを持ち、研究を重ねられてきたからこそのものだと感じます。
発問の大切さは、ICT教育だけではなく全ての学びの原点にあると感じます。先生の発問から児童生徒が発見し、気づき、体験することで、児童生徒とともに学びの持つ力を何倍にもすることができるのだという気づきがありました。
今後、全国で児童生徒が一人一台の端末を持つための環境整備が進み、新しい教育の土台を築かれる学校現場の労力は計り知れません。目指す学びを実現化するために、児童生徒がよりアクティブになるポイントを見定め、効果的にICT機器やschoolTaktを活用していただけるよう、弊社一同サポートして参ります。