【実証事業】今日の学びを振り返り、皆で共有して 〜AIによる振り返りテキスト分析〜 2021.07.07 教育現場レポート

この度教育総研は市川学園市川中学校・市川高等学校様と合同で、生徒の振り返りテキストをAIで分析して振り返りの質を判定し、授業設計や生徒支援に活かす実証研究を行いました。

コードタクトでは、社内チームとして教育工学や教育心理学の研究をするメンバーによる教育総研を組織し、当社のビジョンである「個の力をみんなで高め合う学びの場」の創り出すための理論的・実践的研究を行っています。 また、それらの研究成果をスクールタクトの機能に反映し、現場の先生と児童生徒の学びを支えるサービスの創出に努めています。

 

実証の概要

 コードタクトでは、学習者が自ら主体的・協働的に学ぶために、学習内容および学習活動の振り返り<リフレクション>を行うことで、次の学習の見通しを立てることが重要であると考えています。また、振り返りを学習者同士で共有すること<グループリフレクション(ぐるり)>が、個人および集団の学びに向かう力をより高めうると考えています。
 本実証では高校1年生の物理の授業を対象として、授業での学習内容・学習活動の振り返りを毎時間実施しました。次に、生徒が書いた振り返りテキストを独自のAI技術で分析し、ギブズのリフレクティブサイクル(下図参照)をベースに考案した11個の振り返りの観点(例:感想・自己理解(自己評価)・気付き・問い立て・アクションプラン)に該当するテキストを抽出・振り返りの質を判定しました。

ギブスのリフレクティブサイクル
ギブスのリフレクティブサイクル(1998年提唱)

 また、その結果を先生に共有し、次の授業の冒頭で、よく書けている振り返りを生徒に紹介したり、生徒が相互に振り返りを見合いコメントをし合うなどして、より深く効果的な振り返りへの分析的アプローチを試みました。さらに振り返りの分析と並行して、学習についての考え方や動機づけを問うアンケートを生徒に回答してもらい、多角的な実証を試みました。

協働学習のイメージ

 2021年1〜3月にわたる実証研究の結果、振り返りテキスト分析では向上が見られました。また、振り返りがよく書けるようになった(「感想」だけでなく「問い立て」「気付き」「アクションプラン」などの観点に言及するようになった)生徒は、学期末試験の点数が向上している傾向にありました。また、アンケート結果から、外発的な動機づけが高いとされた生徒が、振り返り活動を通じて多くの観点を含む振り返りを書くようになったことも、発見の一つでした。
 ご協力いただいた先生方からは「実証研究を通して改めて振り返りの重要性や可能性を実感した」「物理では『問い立て』が重要であり、他生徒の振り返りを見ることで『問い立て』ができるようになった生徒が増えたことは大きな意義があった」等のフィードバックをいただきました。
 今後は振り返りテキストAI分析の精度を上げるとともに、これらの機能を用いてどのような学習支援や評価への反映ができるか等、さらなる活用の可能性を探っていきます。

振り返りの質の向上についてのグラフ
あるクラスで「気付き」「問い立て」の観点に言及した生徒数の推移。1~3回目と比較して4~6回目、7~9回目の授業では「気付き」「問い立て」の観点に言及した生徒が増えた。

 

実証の詳細

1.方法

a. 授業の終わりの5分間を使い、生徒がその授業の振り返りをスクールタクト上で書いて提出(授業中に時間が取れなかった場合は宿題として提出)
b. コードタクト側で振り返りテキストをAI技術で分析し、次回の授業までに振り返りAI分析結果を先生に送付
振り返りAI分析結果の例
c. 次回の授業の冒頭で、先生がよく書けている振り返りを生徒に紹介。また、生徒は他生徒の振り返りを見てコメントを書く。(他生徒の振り返りを見ることで、生徒が自分自身では気付けなかった視点や考え方に触れることができ、生徒の振り返り力も高めることができる。)
d. 1学期間、1~3のプロセスを毎授業で実施

2ー1.成果1(2021年4月時点)

最初は振り返りに何も書かない、書いたとしても「感想」の観点のみの生徒が半数以上を占めたが、授業の回数を重ねるにつれてそのような生徒は減っていった。また、振り返りの記述量も増えていき、「問い立て」「気付き」「アクションプラン」等の観点に言及する生徒も増えた。つまり、実証実験を通して生徒の振り返り力が向上したと言える。

例:生徒Aの振り返りの変化

振り返り キャンバス画面(1回目)
振り返り キャンバス画面(1回目)

AI分析結果(1回目)
AI分析結果(1回目)

振り返り キャンバス画面(6回目)
振り返り キャンバス画面(6回目)

AI分析結果(6回目)
AI分析結果(6回目)

2-2.成果2(2021年4月時点)

振り返りがよく書けるようになった(「感想」だけでなく「自己理解(自己評価)「問い立て」「気付き」」等の観点に言及するようになった)生徒は、2学期の期末試験と比較して3学期の期末試験の点数が向上している傾向にあった。これより、生徒の振り返る力を上げることで成績も向上する可能性があることが分かった。

3.ご協力いただいた先生の声

  • これまでも振り返りは大切だと思っていたが、今回の実証実験を通して改めて振り返りの重要性や可能性を実感した。特に、物理では「問い立て」が重要であり、他生徒の振り返りを見ることで「問い立て」ができるようになった生徒が増えたことは大きな意義があると考える。
  • 物理科の他先生が授業の見学に来る等、今回の実証実験が校内でも話題となった。来年度からは振り返りを活用した授業を校内に広めていこうと考えている。

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