「汎用ツールではなく専用ツール」「カード型ではなくワークシート型」
 スクールタクトの機能は、教育に特化したプロダクトとして開発されています。

主体的・対話的で深い学びの“よりよい”実現に向け、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させるためには、具体的に、どうしたらよいでしょうか?

そのためには、一般的なプレゼンテーションソフトや表計算ソフトではなく、教育に特化して開発された授業支援クラウドが必要です。教育の場面を想定して設計されていないツールは、教員と児童生徒が最初から必要十分なリテラシーを身に付けていない限り、効果的な活用が難しいからです。

また、喫緊の課題であるエビデンスに基づいた教育の推進のためには、データとAIが不可欠です。しかし、データの分析やAIの活用には、専門的な知識と経験が必要になります。データとAIがもたらす恩恵をすべての教員・児童生徒が享受できるようにするためにも、やはり、教育に特化して開発された授業支援クラウドが必要になります。

以下では、「1 専用/ワークシート型ツールの必要性」「2 リアルタイム性とスタディログの必要性」「3 データ・AIの教育的利活用の必要性」の三つの観点から、教育に特化したプロダクトとしてスクールタクトの機能を開発する理由を解説します。

1 専用/ワークシート型ツールの必要性

専用/ワークシート型ツールの必要性

 

(1)授業前の準備

教員の仕事は、その大半を授業が占めています。よって、本来は授業の準備にこそ時間をかけるべきですが、課外活動や生徒指導、教育相談や特別な支援、保護者や地域等関係者への対応、さらには校内分掌の割り当てや事務処理、研修による出張などによって空き時間がほとんどないのが現状です。そこでICTの出番ということになるのですが、汎用のプレゼンテーションソフトや表計算ソフトを使うのであれば、授業で使う課題等を一から作成することには変わりありません。

この時、専用ツールである授業支援クラウドを用いることには、大きなメリットがあります。例えば、スクールタクトは、プレゼンテーションソフトをはじめ多くのアプリケーションが採用しているカード型ではなく、授業や学校生活のさまざまな場面で用いられるワークシート型を基本に開発されています。そのまま使ったりアレンジしたりできるワークシート型の課題テンプレートも9,000以上(2024年8月現在)蓄積されているため、よりよい授業をしたい、しかし準備になかなか時間を割けないという先生方にとって大きな支えになるのです。

(2)授業中の柔軟な対応

また、授業は、“生モノ”です。どんなに綿密に準備をしても、児童生徒が期待どおりに活動したり目標に到達したりできるかどうかは、実際に授業をしてみなければ分かりません。よって、柔軟な対応は教員に必須の能力となる一方、汎用のツールは必ずしもこうした事態を想定して設計されていません。よって、タイマーや回答フォーム、チャット、さらに採点など、複数のアプリケーションを組み合わせて対応する必要が生じます。

しかし、スクールタクトであれば、こうしたことは設計段階で想定済みです。授業に必要な基本的なツールは、あらかじめすべてを兼ね備えているのです(機能一覧はこちら)。例えば、課題の配布においては、個別/グループ/全員の三種類をワンクリックで繰り替えることができます。また、後述するように、全員/一人ひとりの学習状況をリアルタイムに把握できることも、柔軟な対応を支える上で不可欠な機能になります。そもそも学習状況がリアルタイムに把握できなければ、対応を変えるべき状況の変化が起きていることに気付けないからです。

(3)学びと成長に合わせた権限管理

加えて、ICTを活用する上では、学びと成長に合わせた権限管理も重要です。例えば、スクールタクトは、児童生徒が互いの作品を見合う「共同閲覧モード」を備えています。成長途上にある児童生徒は、仲間の作品を意図せず誤って編集してしまうことがあります。最初から「共同編集モード」にするのではなく、段階的に権限を付与する必要があるのです。

さらに、スクールタクトでは、互いに「いいね」や「コメント」を送り合う機能も備えています。こうした機能がオールインワンになり、かつ、ワンクリックで起動したり切り替えたりできる授業支援クラウドがあるからこそ、ICTを活用した協働的な学びを成長段階に合わせて着実に進めることができるのです。

2 リアルタイム性とスタディログの必要性

リアルタイム性とスタディログの必要性

(1)授業中の学習状況の把握と共有

学習状況がリアルタイムに把握できることの重要性は、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実において顕著です。汎用のプレゼンテーションソフトをはじめとした従来のカード型のツールでは、児童生徒が回答を提出しない限り、その内容を教員が把握できませんでした。机間指導が必要になるばかりか、それを行ったとしても全員の学習状況を十分に把握できず、したがって一人ひとりに必要十分な指導や支援を届けることができなかったのです。

一方で、スクールタクトでは、リアルタイムに、かつ、一覧の形で全員/一人ひとりの学習状況を把握することができます。また、児童生徒同士も互いの学習状況をリアルタイムに共有できるため、例えば自分と意見が類似/相違した仲間の回答を選んでじっくり閲覧するなど、学び合いが自然に生まれる状況を作り出すことができます。

もちろん、他のアプリケーションにおいても、教員が児童生徒の回答を確認できるものはあります。しかし、児童生徒同士の閲覧機能がないのであれば、教員→児童生徒という一方的で管理的・監視的な関係のみが成立してしまいます。ときには教員も児童生徒の共同探究者となって進める授業が求められる今、教員と児童生徒、児童生徒同士が互いの学習状況をリアルタイムに共有できる機能が必要なのです。それは、ひいては、児童生徒が問題や課題の解決に行き詰まった際の援助要請行動を促し、無力感ばかりを募らせてしまう事態を避けることにもつながります。

(2)授業後の改善

また、授業後に得られるログの分析と活用も、授業支援クラウドに求められる重要な機能です。例えば、スクールタクトでは、ログが課題の配布を起点に体系化されて出力されるため、授業の展開とそれに伴う一人ひとりの学習状況の変化を順を追って確認することができます。授業中には十分に目の届かなかった児童生徒の学習状況も含めて、授業の振り返りができるのです。

さらに、スクールタクトでは、ログを児童生徒理解や授業改善に直結させる機能も登載しています。例えば、協働的な学びに関する「交流マップ」。誰が誰の回答を閲覧したのか、誰が誰にいいねやコメントしたのかということをひと目で把握できるネットワークグラフが、ワンクリックで生成できます。

ここで重要なことは、ログが、一般的な使用ログではなく、「学習活動や教育活動に即した」という意味での“スタディ”ログであることです。授業支援クラウドは、多くの場合、複数の機能がパッケージになっています。どの機能がどの程度使われているかということは、教員の授業スタイルや、児童生徒の学習に取り組む態度を反映します。“スタディ”ログを分析するからこそ、学習活動や教育活動の具体的な改善につながり、さらには、次項で述べるエビデンスに基づいた教育の推進も可能になるのです。

3 データ・AIの教育的利活用の必要性

(1)エビデンスに基づく教育の推進

文部科学省の方針に基づき、エビデンスに基づく教育の推進は喫緊の課題です。こうした状況を受け、コードタクトでは、スクールタクトから得られるスタディログを「活用レポート」として集計・可視化し、教育委員会や学校に提供しています。エビデンスに基づく教育の推進を支援しているのです。

また、こうした取り組みの一環として、学習eポータル各社に対するスタディログの提供も行っています。エビデンスに基づく教育を推進するためには、教育ダッシュボード上で、複数のアプリケーションから得られるログを合わせて示したり掛け合わせたりすることが重要だからです。将来的には、教科等に関する調査、意識や生活実態に関する質問紙調査、体力・運動能力に関する調査をはじめとした各種調査の結果はもちろん、保健福祉分野をはじめ自治体の各行政分野が保有するデータを総合的に分析・活用することが期待されています。

スクールタクト 教科別の課題配布枚数

(2)教育総研による研究開発

こうした近未来を見据え、コードタクトでは、組織内に「教育総研」という研究部門を設けています。市場分析はもちろん、学術的な観点から調査・研究を行い、スタディログの分析から新たな機能を提案したり設計したりするなど、スクールタクトの機能開発において重要な位置を占めています。

教育総研のこれまでの研究では、一例として、非認知能力の向上が認知能力の向上にも寄与することを明らかにしています。具体的な研究結果については、公式ブログで詳細を公開しています。エビデンスに基づいた教育が実際の現場においてどのように推進されているかを知る材料にもなるため、ぜひ、ご覧ください。

スクールタクトブログとニュースリリース「スクールタクトを運営するコードタクトが、次世代の学びをデザインする6つのプロジェクトを始動」

左:スクールタクトブログ
右:【ニュースリリース】スクールタクトを運営するコードタクトが、次世代の学びをデザインする6つのプロジェクトを始動

(3)AIを活用した機能開発

加えて、コードタクトでは、教育総研と開発部が連携することで、AIの教育的利活用を進める取り組みも行っています。例えば、「振り返りAI分析」。児童生徒が授業や学校生活の振り返りとして記述したテキストをAIで自動分析する機能であり、自分なりの学び方や自分らしさを理解して伸ばすことを目的に開発されています。

その他にも、実証中の機能として、もっと自由に学び続けるための「探究キャンバス」、もっと協働最適に学び合うための「グループの自動生成」、世代や時代、言語や文化等の違いから学ぶための「AIと協働探究」、さらには、みんなの思いや考えの関連を可視化する「意見類似度マップ」などがあります。スクールタクトは、教育に特化したツールであるからこそ、AI、さらにはデータを活用した機能開発において教育現場のニーズやトレンドをいち早く捉え、学びと成長に寄り添い続けるオンリーワンのプロダクトとして進化し続けることができるのです。

振り返り観点の変化

活用ライブラリ

学びの構造転換の理論に基づいて開発されているスクールタクトは、一斉授業はもちろん、学びを個別化・協働化する自由進度学習や、学びをプロジェクト化するPBLなど、さまざまな授業の実現をサポートします。先生の働き方改革にもつながる豊富な活用事例をご覧ください。

導入事例

教育委員会(公立小・中学校)/高等学校/私立小・中学校/大学・塾
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